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「僕はヴィオレットと結婚することになった。だから、君との婚約は解くよ」 七年待った婚礼の、ひと月前。 セシルは祝宴の席を別の令嬢に奪われ、婚約を破棄された。 それなのに、元婚約者ユーグは言う。 「ただ、他の男との噂は立てないでくれ」 結婚はしない。けれど、彼女だけは自分を好きなままでいてほしい。 そんな身勝手な期待に、もう付き合うつもりはなかった。 指輪を返し、外套を預かる頼みも断ったセシルが、自分のために踊りたいと望んだ夜。 手を差し出したのは、ユーグの上官に当たる騎士団長レオナールだった。 仕事では迷いなく人を導く彼が、二人きりでは、驚くほど甘い。 朝市でパンを半分にし、並んで馬を走らせ、もっと触れたいと願う。 守られるだけではなく、セシルも自分から彼を誘い、恋を進めていく。 だが、合鍵を返しても、ユーグの干渉は終わらない。 かつて助けた恩と「心配している」という言葉で彼女の行く先を塞ぎ、ついには騎士の権威まで持ち出して――。 婚約を捨てたあなたの許可は、もう要りません。 わたくしを選ぶ人と、わたくしの望む明日を生きていきます。 悪縁を断ち切る痛快さと、互いを求める甘い恋を描く、独立完結の異世界恋愛。
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