『幸せになりたかっただけなのに、婚約も親友も失くしました。~普通の伯爵令嬢、領地再建から始めます~』
「私なんて、何をしても普通だから。結婚さえすれば、きっと幸せになれる」
十六歳の伯爵令嬢クラリスは、そう思っていた。
特別美人でもない。
成績も普通。
魔法も普通。
これといった才能もない。
幼い頃は貧しかったアシュフォード家も、父の事業が成功して裕福になった。いつしかクラリスは、自分で何かを成し遂げるより、誰かに選ばれ、幸せにしてもらうことを望むようになっていた。
そんな彼女に待っていたのは――婚約破棄。
父の事業失敗で爵位は降格し、婚約者には捨てられた。
しかも、新しい婚約者になったのは学院で一番仲の良かった親友。
家にはお金もなく、学院まで退学することになった。
「私には、もう何もない……」
絶望するクラリス。
けれど、兄は領地を諦めていなかった。
そして兄の友人である公爵夫妻から、
「あなた自身は、何ができるの?」
と問われる。
特別な才能はない。
それでも、貧しかった頃に身につけた家事や仕事の経験、人をよく見る力ならある。
「……私にも、できることがあるかもしれない」
領地の特産品に目をつけ、失敗しながらも領地再建に挑み始める。
やがて小さな成功は大きな成果へ。
一方、彼女を捨てた元婚約者は気づいていく。
自分が見下していた「普通の令嬢」が、実は誰よりも自分たちを支えていたことに。
そしてクラリスの前には、商才に溢れた一人の青年が現れる。
「あなたといると、楽しいです」
誰かに幸せにしてもらおうとしていた少女が、自分の人生を自分で切り開いていく。
婚約も、親友も、爵位も失った普通の令嬢の、逆転と溺愛の物語。
*****
10時20時更新します。
いつもより長編の予定です。
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しかも、新しい婚約者になったのは学院で一番仲の良かった親友。
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