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「離縁しても、ここにいればいい。家のことは今までどおり頼む」
若い恋人を公然と連れ歩く夫は、俺を配偶者としては捨て、世話役としては残すつもりだった。
九年の結婚生活を終えたクラウス、三十二歳。
招待への返事も、客への謝罪も、夫の機嫌を取ることも、もう引き受けない。自分で家を出て、これからの暮らしを選ぶと決めた。
そんな俺が休日の散策先で再会したのは、離縁調停に立ち会った宰相ヴァレリオだった。
冷血と評判の男が、古い橋の彫刻を一緒に眺め、俺のつまらない冗談に笑う。
そして、飾らない言葉で告げてくる。
「男として、あなたに惹かれている」
食事をし、庭を歩き、次に会う日を待つ。
あの男の気の抜けた顔を、もっと見たい。
触れてほしいだけではなく、俺からも触れたい。
ようやく自分の恋を選び始めた俺に、元夫は言う。
「お前は、俺のことを一番分かっているだろう」
――知っている。だから、戻らない。
落ち着いた皮肉屋の元伯爵夫人ならぬ元夫×厳格なのに恋では率直な年上宰相。
大人の男二人が、隠されない恋と新しい暮らしを手に入れる異世界BL。
元夫との決別から、求婚、婚礼、結婚後の甘い日々まで。
文字数 63,198
最終更新日 2026.10.25
登録日 2026.10.25
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