あなたは一度も聞かなかった 〜噂だけを信じた婚約者の後悔〜

# あなたは一度も聞かなかった

## 〜噂だけを信じた婚約者の後悔〜

幼い頃に魔力を暴走させたことで、“危険な公爵令嬢”と噂されるようになったキアラ・フォン・リュシエル。

黒髪に赤い瞳。
人を寄せ付けない見た目と、王都から離れて育った環境のせいで、社交界ではあることないことを囁かれていた。

そんな彼女には、正義感が強く優秀だと評判の婚約者――公爵令息アレクシス・フォン・クラウディアがいる。

けれど彼もまた、噂を信じていた一人だった。

「怖い令嬢」
「魔力を盾にわがままを言う娘」
「感情を制御できない危険人物」

学園で再会したキアラは、婚約者としてではなく、“一人の人間として”アレクシスと向き合おうとする。

お茶会に誘い、
行事で声をかけ、
少しずつ関係を築こうと努力するキアラ。

だがアレクシスは最後まで彼女に壁を作り続ける。

やがて彼は、明るく社交的な伯爵令嬢に心を惹かれていき――。

卒業間近。
二人は“円満”に婚約解消する。

その別れ際、キアラは静かに言った。

「結局、あなたは一度も私に聞かなかったのですね」

そして数年後。

仕事を始めたアレクシスは知ることになる。

噂だけで人を判断する愚かさを。
そして、自分がどれほど誠実な少女を見ようとしなかったのかを。

これは、“ざまぁ”ではない。

信じるべきものを見誤った、一人の青年の静かな後悔の物語。
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