完結【日月の歌語りⅠ】腥血(せいけつ)と遠吠え
◆◇謎に包まれた吸血鬼×生真面目な人狼◇◆
《あらすじ》ある人狼に追われる年経た吸血鬼ヴェルギル。退廃的な生活を送ってはいたけれど、人外の〈協定〉の守護者である、人狼達の〈クラン〉に追われるほどの罪は犯していないはずだった。
ついに追い詰められたヴェルギルは、自分を殺そうとする人狼クヴァルドの美しさに思わず見とれてしまう。鋭い爪が首に食い込むのを感じながら、ヴェルギルは襲撃者が呟くのを聞いた。
「やっと……やっと追い詰めた」
その声に祈りを連想したのは、頭をひどく打ったからだろうか──。
だが、彼の望みは想い人の復讐だった。
「人違いだ」と説明するも耳を貸さないクヴァルドに捉えられ、人狼の本拠地へと連行されるヴェルギル。そして天敵同士である人狼と吸血鬼は、手を組んで同じ敵を追うことになるが──。
「吸血鬼」小さな声で、クヴァルドが言った。「なんで、俺を?」
同じことを、ヴェルギルもまた自問していた。
何故、この男なのだ?
イムラヴの血を引く人狼は珍しい。だが、それだけが理由ではない。見事な毛皮に惹かれたからか? あるいは、哀れを催すほど真面目で高潔だから? 故郷の歌を見事に歌い上げたあの声のせいか? それとも、満たされない憧憬を抱えた彼に同情した?
わからない。これほど不確かなことがこの世に存在することを、いま初めて知った。
ヴェルギルは口の中で、〈嘘の守護者〉リコヴへの祈りを口にした。それから肩をすくめて、こともなげに言った。
「わたしは悪食でね」
それぞれの思惑を抱えつつ、激しく惹かれてゆくふたり。だが、ヴェルギルにはどうしてもクヴァルドを裏切らねばならない理由があった。やがてふたりの道行きに、国中を戦禍に巻き込みかねない陰謀の暗雲が立ちこめ──!?
異世界の島国・ダイラを舞台にした、ハイファンタジーBL《日月の歌語り》シリーズ1作目。
《あらすじ》ある人狼に追われる年経た吸血鬼ヴェルギル。退廃的な生活を送ってはいたけれど、人外の〈協定〉の守護者である、人狼達の〈クラン〉に追われるほどの罪は犯していないはずだった。
ついに追い詰められたヴェルギルは、自分を殺そうとする人狼クヴァルドの美しさに思わず見とれてしまう。鋭い爪が首に食い込むのを感じながら、ヴェルギルは襲撃者が呟くのを聞いた。
「やっと……やっと追い詰めた」
その声に祈りを連想したのは、頭をひどく打ったからだろうか──。
だが、彼の望みは想い人の復讐だった。
「人違いだ」と説明するも耳を貸さないクヴァルドに捉えられ、人狼の本拠地へと連行されるヴェルギル。そして天敵同士である人狼と吸血鬼は、手を組んで同じ敵を追うことになるが──。
「吸血鬼」小さな声で、クヴァルドが言った。「なんで、俺を?」
同じことを、ヴェルギルもまた自問していた。
何故、この男なのだ?
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ヴェルギルは口の中で、〈嘘の守護者〉リコヴへの祈りを口にした。それから肩をすくめて、こともなげに言った。
「わたしは悪食でね」
それぞれの思惑を抱えつつ、激しく惹かれてゆくふたり。だが、ヴェルギルにはどうしてもクヴァルドを裏切らねばならない理由があった。やがてふたりの道行きに、国中を戦禍に巻き込みかねない陰謀の暗雲が立ちこめ──!?
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