月蛇と天狐
瀬戸内の海を見下ろす、忘れられた古い社。
参る人もなく、消えかけていた白蛇の土地神・月巳のもとに、ある晩秋の三日月の夜、ひとりの赤子が託された。
月巳は、その子を「千寿」と名づけ、貧しくも温かい日々の中で育てていく。
けれど、千寿には、人には見せられない金色の瞳と、うなじに浮かぶ三日月の痣があった。
同じ頃、遠い天狐の郷では、継承の儀式で宝珠が新たな主を拒み、その光が西の空を指していた。
千寿を探す者たちが、静かに動きはじめる。
「駄目なものは、駄目です」
血のつながりより大切なものを抱いて生きる少年と、彼を育てた神さま、そして名も知らぬ旅の男。
月と蛇と狐が織りなす、和風ファンタジー。
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