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13.彼と愉快な仲間達
しおりを挟む恋が…終わった。
「ゴメン、気付かなかった。だってほら、俺と一緒にいる時と話し方が全然違うから」
「あ…ああ、はい…」
そりゃそうでしょうよ、思いっきり猫を被ってましたからね!
ワザと小さな声でトーンも高めにして可愛さをアピールするのは結構大変だったですよ!
「えっと、なんて言うか、華ちゃん…」
「あはは、何かもうバレちゃいましたよね。あの…これが私の素なんです」
もう振られる覚悟は出来たので、唇を噛み締めていると郷田さんのツレである2人の男性が存在をアピールし始めた。見覚えの有る顔だと思ったら、どうやら郷田さんの勤務先であるバーのスタッフらしく。1人はオールバックで爬虫類っぽい顔立ち、もう1人は茶髪で中性的。どちらも私を凝視しており、興味津々だということを隠そうともしない。
「なあ、ジェイ。この可愛コちゃんを紹介してくれないのか?」
「そうだよ、俺らのことを無視すんなよ」
ここで話の流れをぶった切り、私は彼らに向けて疑問を口にする。
「あの…ジェイって?」
「え?ああ、ジャイアンの『J』だよ」
「そうそう、ゴウダタケシ繋がりでさ!」
「だったら『G』のはずでは?」
「えっ?!そうなの?」
「でもそれじゃあゴキブリの隠語と同じになるぞ」
「あのアニメが全米で放送された際に、ジャイアンは『ビッグG』という呼び名になったそうなので、やはり正しくは『G』ですよ」
「へえ、物知り~」
「じゃあさ、のび太は?」
「野比のび太は『ノビー』になりました」
「すげえ、やっぱ物知り~」
「あはは、カッコイー」
って、こんな和気藹々としている場合じゃなかった。郷田さん、そろそろ何か喋ってよ…と思った時にカミングアウトが始まる。
「あのさあ、俺、今このコと付き合ってるんだ」
当然、他2人は驚きまくっているが、ジェイこと郷田さんは動じない。
「華ちゃんって…俺の顔を見るとヤリたくなるの?」
「うわああ、やっぱり聞こえてましたか。ええ、はい、そうですよ、もう子宮がジンジンして凄くエロい気分になっちゃうんです」
「へええ…、ふううん、俺も~」
「えっ?」
「俺も華ちゃんの顔を見ると、ヤリたくてムラムラする」
「…んッ…」
ごめんなさいね、子宮がキュウと反応しちゃったんですよ。ああ、エロいわ、私の彼氏。ギラギラした目も、ポッテリした唇も、脱ぐと意外にマッチョな胸板も。ついウッカリ視線が股間の方を見てしまうのは、哀しい性と言うか、早く2人きりになって繋がりたいと思ってしまったからで。
というか、万歳!!どうやら私は振られず、それどころかむしろエロい女として歓迎されたらしい。
「なあ、このあとケイの店に行って、ジェイの彼女も一緒に4人で飲もうよ」
「おっ、それは名案だな!…あ、そちらの男性も宜しかったら一緒に如何ですか?」
ええっ?何を言い出すのだ爬虫類くん。そして中性的くんも須賀さんを誘うなんて、もしやアナタの恋愛対象は同性なのかい?
…郷田さんにも須賀さんにもハッキリ断って欲しかったのに。
「おっ、いいね」
「俺も別に大丈夫ですよ」
何故かニコニコと快諾されてしまい。
仕方なくその数分後には、ジェイの店でケイの隣りに座っていたりする(※華さんは動揺のあまりにジェイとケイを混同しています)。
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