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13.揺るぎない安全

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 王都の結界を崩壊させたという件によって、私とエムリーナ様は国王様の前に呼び出されることになった。
 そこで私達は、今回の件を糾弾されるのだ。本来であれば、二人揃って仲良くクビになることだろう。
 ただ今回は、恐らくそうならない。ゼルフォン殿下に聞いた通りなら、裁かれるのはエムリーナ様だけであるはずだ。

 そんなことを考えながら、私はエムリーナ様と並んで跪いていた。
 私達を上にある玉座から見下しているのは、この国の国王様である。

「さて、今回の件について、私は息子であるゼルフォンに諸々の調査を命じていた。故にまずはゼルフォン、お前の見解を聞くとしよう」

 国王様は、低い声でゼルフォン殿下に呼びかけていた。
 その声に、ゼルフォン殿下が私達の前に現れる。彼は私に一瞥した後、父親である国王様の方を向く。

 しかし、結界の崩壊の件に関する調査を行っていたのが、ゼルフォン殿下だったというのは初耳である。
 明確にそれが決まったのは、恐らく私と話した後だろう。もしも先に決まっていたなら、彼はその旨を述べていたはずだ。

 そして、ゼルフォン殿下が調査を担当していたということは、私の安全が保障されていることを意味する。
 魔法による契約によって、彼はそうせざるを得ない。それを破った瞬間、彼は私の傀儡になるため、どの道私の有利は揺るぎないのだ。

 それを知らないエムリーナ様は、私のことを敵意が籠った視線で睨みつけている。既に勝負は、ついているというのに。

「父上、まず結論から申し上げましょう。今回の件は、聖女エムリーナが全ての元凶です」
「なっ……!」

 ゼルフォン殿下の至極単純な言葉に、エムリーナ様は勢いよく立ち上がった。
 流石の彼女も、いきなりそんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。かなり困惑していることが、その表情から伝わってくる。

 一方で、国王様は驚いていない。
 ここで初耳なんて訳はないだろうし、恐らく事前にゼルフォン殿下から事情は聞いているのだろう。その表情も、特に動いていない。

「ゼルフォン殿下、あなた何をっ……」
「聖女エムリーナ、ここは厳正な場である。勝手な発言は控えていただきたい」
「あっ……す、すみません」

 騒ぐエムリーナ様のことを、国王様は冷静に諫めていた。
 それによって、彼女は勢いを止めざるを得ない。流石の彼女も、国王様に逆らうことなんて、できないのである。

 もっとも、エムリーナ様の我慢がいつまで持つかは微妙な所だ。
 彼女の怒りも、どんどんと溜まっていることがわかる。もしかしたらそれが、爆発するかもしれない。
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