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15.軽率な行動
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「私は、こんな所でっ――」
立ち上がったエムリーナ様は、国王様に手の平を向けていた。
それが何かしらの魔法を行使しようとしていることは明らかだ。そんな彼女に対して、私は素早く魔法をかける。
「あ、がっ……」
その瞬間、エムリーナ様の体は固まった。
彼女が魔法を放つ前に、私の魔法が無事に決まったようだ。これで彼女は、もう自由に動くことはできない。
その一瞬の攻防に、玉座の間は静けさに包まれていた。
周囲を改めてよく見てみると、国王様やゼルフォン殿下の前には兵士達がいる。
彼らも流石にプロである。エムリーナ様の動きを察知して、咄嗟に要人を庇う動きをしたということだろう。
もっとも、エムリーナ様くらいの魔法使いであるならば、それらの盾も意味はなかったかもしれない。
どちらにしても、彼女を止められて本当に良かった。私は、そっと胸を撫で下ろす。
「……癇癪を起したか。愚かなことをしたな、聖女エムリーナ」
「あ、うっ……」
「お主がそうしたことによって、処罰はさらに重大なものになる。とりあえず、牢屋に行ってもらおうか」
悲しそうな目をした国王様の言葉によって、周囲の兵士達が動き始めた。
これでエムリーナ様は、本当に終わりだ。早まったことをしてしまった。国王様に歯向かうなど、王都の結界を崩壊させるよりも重大なことだということは、彼女だってわかっていただろうに。
「アルエリア、お主には助けられたな。先程の手腕、見事であった」
「あ、ありがとうございます」
「今回の件は、お主にとっては災難としか言いようがなかったな。それは私の罪でもある。エムリーナを聖女に選んだのは、他ならぬ私の判断だからな」
「いえ、それは仕方ないことだと思います」
国王様は、申し訳なさそうにしていた。
政治的な意味でエムリーナ様を聖女にしたが、このようなことが起きて、その判断が誤りだったと思っているのだろう。
ただ、その判断は私にとって悪いものという訳でもなかった。結果的に今回もなんとかなった訳だし、私としてはそこまで気にしていない。
「そんなお主に不躾な頼みではあるが、この国には新たなる聖女が必要だ。請け負ってもらえるだろうか?」
「……わかりました」
私は、国王様の言葉にゆっくりと頷いた。
聖女になりたいとは思っていないが、状況が状況だ。断れる訳もないし、私がその役目を担う以外にない。
「さて、アルエリアよ。お主が聖女になるにあたって、ここにいるゼルフォンと婚約を交わしてもらいたい」
「え? ゼルフォン殿下と婚約、ですか?」
「うむ、前々から聖女の血筋を王家に取り入れたいと思っていたのだ。お主以上の適任者はいないだろう」
国王様の言葉に、私は少し驚いていた。
聖女になることは覚悟していたが、それに関しては予想外である。その予想外のことに、私は呆気に取られるのだった。
立ち上がったエムリーナ様は、国王様に手の平を向けていた。
それが何かしらの魔法を行使しようとしていることは明らかだ。そんな彼女に対して、私は素早く魔法をかける。
「あ、がっ……」
その瞬間、エムリーナ様の体は固まった。
彼女が魔法を放つ前に、私の魔法が無事に決まったようだ。これで彼女は、もう自由に動くことはできない。
その一瞬の攻防に、玉座の間は静けさに包まれていた。
周囲を改めてよく見てみると、国王様やゼルフォン殿下の前には兵士達がいる。
彼らも流石にプロである。エムリーナ様の動きを察知して、咄嗟に要人を庇う動きをしたということだろう。
もっとも、エムリーナ様くらいの魔法使いであるならば、それらの盾も意味はなかったかもしれない。
どちらにしても、彼女を止められて本当に良かった。私は、そっと胸を撫で下ろす。
「……癇癪を起したか。愚かなことをしたな、聖女エムリーナ」
「あ、うっ……」
「お主がそうしたことによって、処罰はさらに重大なものになる。とりあえず、牢屋に行ってもらおうか」
悲しそうな目をした国王様の言葉によって、周囲の兵士達が動き始めた。
これでエムリーナ様は、本当に終わりだ。早まったことをしてしまった。国王様に歯向かうなど、王都の結界を崩壊させるよりも重大なことだということは、彼女だってわかっていただろうに。
「アルエリア、お主には助けられたな。先程の手腕、見事であった」
「あ、ありがとうございます」
「今回の件は、お主にとっては災難としか言いようがなかったな。それは私の罪でもある。エムリーナを聖女に選んだのは、他ならぬ私の判断だからな」
「いえ、それは仕方ないことだと思います」
国王様は、申し訳なさそうにしていた。
政治的な意味でエムリーナ様を聖女にしたが、このようなことが起きて、その判断が誤りだったと思っているのだろう。
ただ、その判断は私にとって悪いものという訳でもなかった。結果的に今回もなんとかなった訳だし、私としてはそこまで気にしていない。
「そんなお主に不躾な頼みではあるが、この国には新たなる聖女が必要だ。請け負ってもらえるだろうか?」
「……わかりました」
私は、国王様の言葉にゆっくりと頷いた。
聖女になりたいとは思っていないが、状況が状況だ。断れる訳もないし、私がその役目を担う以外にない。
「さて、アルエリアよ。お主が聖女になるにあたって、ここにいるゼルフォンと婚約を交わしてもらいたい」
「え? ゼルフォン殿下と婚約、ですか?」
「うむ、前々から聖女の血筋を王家に取り入れたいと思っていたのだ。お主以上の適任者はいないだろう」
国王様の言葉に、私は少し驚いていた。
聖女になることは覚悟していたが、それに関しては予想外である。その予想外のことに、私は呆気に取られるのだった。
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