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2章 のんびり

37話 レベルアップと品種改良

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「いや~これはなかなか難しい」


待望の6レベルを迎えてから、今日で1月になります。
作成枠が10個も増え、20個になっただけでなく、性質の異なる物同士を掛け合わせることが出来る様になりました。


「例えば、トウモロコシに刀を加えると、何処でも育つ品種になったんだよね」


そのおかげもあり、他の村でもトウモロコシが栽培できて、ニワトリのエサが確保できるようになりました。
更にいうと、作成速度を短縮する為、わらじと掛け合わせた作成物は、全部が1時間で出来る様になったんだ。


「超大型が沢山作れる様になったから良かったよ」


超大型は時間が掛かっていたから、タバサ様に渡すにしても3機がせいぜいだったんです。
だけどね、10機を渡すことが出来て、次々に送っています。


「予想通り、お米で刀や槍と作れたのも大きいけど、出来る事が多すぎなんだよね」


嬉しい悲鳴と言うやつで、僕はニコニコして作成を進めていました。
その中でも、僕が見つけたい改良は、外での成長速度アップだったけど、それが見つからなくて唸っている訳です。


「今でも成長速度は早いから、どこでも育つタネを作った方が良いとは思うけど、出来ないと思うと見つけたいね」


ああでもないこうでもないと、作成枠を埋めていく僕は、作った刀を更に改良する方向に動き、刀同士を合成していきます。
1度に作れる数は1000個と藁人形【小】以上の【普通】の刀は、2本を掛け合わせた500本が【業物】になり、同じ様に更に掛け合わせ250本の【大業物】から、更に掛け合わせた125本の【名刀】が出来ます。


「そして、その100本を使って1本出来るのが、【神刀】と呼ばれる最強の刀で、一振りで海を切る程の威力がある」


作ったけど、怖くて使えないので説明だけを読んで出さずにいるけど、これはあの女も倒せるかもしれないと、ちょっと怖い考えが浮かんだよ。
でも、そんな事はする気はないし、僕はここで平和に暮らせれば良いから、作物の方に掛け合わせ、作物が土に力を与える事が出来る様になりました。


「変形できるようになった藁人形たちもそうだけど、これで作物も広める事が出来るね」


何処でも育つのも凄いけど、土が弱くても力を注いでくれる作物は更に凄くて、そんな作物が育てば、この国は豊かになると、僕はとても笑顔が絶えなかったよ。


「アオ、そんなに無理して笑わなくて良いのよ?」
「うん・・・ありがとうミドリ」


無理をしている事をミドリに当てられ、僕はその場に座り込んでしまいます。
新しくジューネさんの護衛をしてくれるカレルさんたちは、5人共に僕を嫌っていて、その気配をずっと受けて倒れそうだったんだ。


「それなら、早く出て行ってもらえば良いのに、どうして残してるのよ」
「それはテストの為だよミドリ」
「テスト?」


新しい穀物は村で試せるけど武器はそうもいかず、凄腕の人たちに試してほしかったんだ。
これは、どうしても必要だから我慢してて、そろそろ限界でした。


「サーシュたちでも良くない?」
「サーシュさんたちの実力は、村長たちと同じくらいなんだよミドリ」
「えっ!?」


既に分かってる強さでは、新たに作った装備の性能を測れず、今後の為に仕方なかったんだ。
それでも、僕が見ていなくては行けなくて、藁人形たちを相手にした訓練を最後まで見ていました。


「だからね、ミドリの膝枕をしてもらって観戦するのは仕方ないよね」
「ヨシヨシ」


ミドリに撫でられながらが僕の限界で、それでも良い情報がもらえたよ。
業物までが世間に出せる品で、それ以上は僕たちだけの装備と確定し、藁人形たちにも装備させようと考えました。


「でも、藁人形たちも強化出来るから、いらないかな」
「じゃあ、あの人達村から出しましょうよアオ」
「そうもいかないよミドリ、あの人たちはジューネさんの護衛だし、村の護衛をしてくれてるサーシュさんたちの友人だもん」


わざわざ来てくれた人たちで、そうでなくてもサーシュさんたちまで怒って話しかけもしないんだ。
僕がいただけでこれですから、他の冒険者なんてまず味方になってくれないと、僕はミドリに説明したよ。


「他の人なんていらないじゃない、もう沢山いるでしょ」
「まだまだなんだよミドリ、僕の作成品の数知ってるでしょ」
「まぁね」


ここの生活だけならもう十分とミドリは言うけど、僕の作れない服とかを皆に贈りたいんだ。
その為にも、僕は頑張って作成を進めお金を溜めています。


「出かける事はしないから、ジューネさん頼りだけど、だからこそ護衛の人と仲良くなりたいんだよね」
「まぁ頑張りなさい」


ミドリに応援され、僕の体調も良くなったので最後の確認です。
起き上がり、ジューネさんの馬車を確認しに向かったけど、驚いて動けないジューネさんが立ち尽くしていたね。


「まぁそうなるわよね」
「最初だしね、ジューネさ~ん」


僕が呼ぶと、ジューネさんは顔だけを向けて来て、どうしてか泣きそうでした。
どうしてそんな顔なのかと思っていたら、自分の秘密を言うタイミングが無くなったと、泣き付いてきましたよ。


「何ですかそれは」
「だって、ワタシ収納スキルを持ってるのよ、それなのにこれは無いわよアオ君」
「そ、そうでしたか」


はははっと笑う僕だけど、ミドリがやれやれって顔して呆れてた。
馬を使わない馬車として広めてる【輸送トラック】は、収納鞄以上に品物を積めて便利だけど、燃料がバイオマスだからここら辺でしか使えません。


「ジューネさんはここら辺の移動だけだから、丁度良いから使ってもらいたかったんだけど、嫌でしたか?」
「イヤじゃないのよ・・・でもね、今回でワタシ覚悟をしていたの」
「覚悟って、村長と同じスキルですよね?」
「そうなんだけど、そうじゃないのよ~」


何が違うのか分からず、ジューネさんは更に泣いてしまいます。
僕の腰にしがみ付いて来るジューネさんを【ヨシヨシ】と撫でてあげると、ミドリはため息を付いていたね。


「何でそんな反応なんだよミドリ」
「アオが誰にでも優しいからよ」
「誰にでもじゃないよミドリ」


僕が大切にしてる中で、ほんとに思っているのはミドリなんです。
言葉にはしないけど、僕は本気で思っていて、13歳の成人式が待ち遠しかった。


「そう言えば、成人の儀式って僕も出れるのかな?」
「何言ってるのよアオ、出れるわけないでしょ」
「えっ!?」


とても重大な事で、僕はかなり焦ってしまいます。
ジューネさんの撫で撫でを止めて、どうしようとミドリに聞いちゃったよ。


「そう言われても、アオは男だから無理よ」
「で、でも、成人できないと困るよ」
「どうしてよアオ、そんなのに出なくても歳は取るのよ?」


成人はするんだからと、ミドリは気にしてないけど、僕にとっては重大な事です。
どうにか出来ないかと、僕は村長に聞く事にしたけど、誰にも言えないので夜にこっそり訪問する事にしたよ。
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