あやかしと、明日を生きる
二十一歳の大学生、八十神蛍(やそがみ・ほたる)。
幼い頃に両親を亡くし、自分を助けて命を落とした姉の記憶を抱えながら、古書店を営む師匠・朝倉静香と暮らしている。
蛍には、人には見えないもの――あやかしが見える。
ある日、蛍は人ならざる存在がもたらす災いに巻き込まれた人々と出会う。
願いと引き換えに対価を求める九尾の狐。
嘘を弄び、人の信頼を壊す狸。
悲しい記憶を手放すよう誘う蛇。
そして、人々の暮らす土地に怒りを向ける龍神。
誰かを助けるたび、蛍は自分の大切なものを差し出していく。
寿命も、信用も、忘れたくない記憶さえも。
それでも蛍は、目の前で苦しむ誰かを見捨てられない。
けれど、蛍を大切に思う人たちは、そんな彼を黙って見送るつもりなどなかった。
これは、誰かの明日を守ろうとする青年が、自分自身の明日を望めるようになるまでの物語。
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