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第3話 勇者、出張旅費を申請する
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エイリアスに案内されてしばらく市内を歩くと、ネイピアスの街の真ん中に建っている市庁舎に到着した。
ホーリアの古い街並みと違って、コンクリートの四角い建物が立ち並ぶ中でも一番新しそうな白い長方形のビルだ。
ニーアが散々騒いだのに、この街でエイリアスを見て黄色い叫びをあげるような人間はいなかった。顔は知られているようで、好意的な目線が僅かに集まるだけだ。おそらく、ニーアが異常なのだと思う。
「では、俺はこの辺で」
「え……」
庁舎の中の応接室までついて来ていたエイリアスが行こうとすると、付き人のように横に控えていたニーアが、ショックを受けた顔で固まった。
道すがらエイリアスが話す一言一言に感動していたニーアだったが、すぐに到着したからまともに話せていない。それは少し可哀想だと思っていたが、ニーアは俺を邪魔な看板か何かと勘違いしているようで、両手で横に退かしてエイリアスの前に出た。
「あの、私は市長に呼ばれてないので」
「そう?じゃあ、少しお茶でもする?」
はい!とニーアが元気よく返事をする前に、俺はニーアをエイリアスから引き離した。
「嘘言うな。勇者の皆様って言われたから、仲間全員行かないと」
「私が……勇者様の、仲間……?」
「そこから疑問を持つな」
「えー……ニーア行っちゃうのぉ……」
悪の組織に誘拐されたわけでもないのに今までの俺との日々を記憶から抹消しているニーアだったが、1人で俺と残されそうなリリーナが泣きそうな顔をしているのに気付いて仕方なく諦めた。
ニーアが両手の手袋を外して恐る恐る右手を差し出すと、エイリアスはそれに応えてニーアの右手を握る。
「あの……是非、今度、ホーリアに遊びに来てください……!」
「ああ、今度はゆっくり話そう」
「はい……!」
エイリアスと手を離したニーアは、握られた手を愛しむようにぎゅっと抱きしめる。俺と握手した時は、右手の手袋しか外さなかったことを少し思い出したが、まぁ些細な事だ。
+++++
俺たちが応接室のソファーで待っていると、すぐに男性が早足に入って来た。
「よく来てくれました。ネイピアス市長です」
ネイピアス市長は30代か40代くらいの若い男性だった。
目の下に、鍵マークの刻印が入っている。まるでピエロの涙マークのようだったが、整っているとはいえ真面目そうな市長の顔には全然似合わない。
市長も好きでそれを入れているわけではないだろう。鍵の刻印は魔法が一切使えない、そして魔法が効かない「退魔の子」の印だ。
退魔の子は、どこか見えるところに鍵のマークを入れる決まりになっている。
例えば、災害で大量の怪我人が出た時、リリーナのような白魔術師が出て来て一気に治療をするが、退魔の子は治療魔法が効かない。全員治したつもりで退魔の子が放置されるような悲劇を防ぐための目印だ。
退魔の子を前にすると、魔術師たちは完璧に無視していない者として扱ったり、無駄に傲慢な態度になったり、多種多様な反応を見せる。
リリーナはどうかと心配になったが、魔術を使えない街で知らない人を前にしてそんな態度をとる余裕は無いらしい。帽子の鍔を掴んで顔を限界まで隠して、「は、はひゅ……ひぅぅ」とコミュ障っぷりを爆発させていた。
「どうも。俺はホーリアの勇者だ。あと、仲間のニーアとリリーナだ」
「皆さま、お呼び立てして申し訳ございません」
「いいや。ネイピアスは国境沿いの街だから、周辺市の勇者も把握するのか?」
「いいえ。私が諸外国に興味があるんです。私は元々は、トルプヴァールの外交官をやっていまして」
「へぇ、珍しいな」
エイリアスより少し年上くらいの年齢に見えるのに、外交官を経て市長に転職とは。
前世では1つの職場にしがみ付いて、現世でも職業の選択を間違えているんじゃないかと薄々気付き始めている俺からしてみると、羨ましい限りだ。
ネイピアス市長は、年齢の疲れが出始めている顔をしていたが、人の警戒心を消させる子供のような笑顔を見せた。
「ホーリアはどうですか?」
「いい街だ。市民は皆勇者に好意的だし、まぁ、仕事は忙しいが、だから首席卒業の俺が呼ばれたんだろうな」
横にいるニーアも聞いているのが気掛かりだ。しかし、身内ならともかく、外の人間にまで「全然働いてないから、市内放送で俺の苦情が流れちゃってさぁwww」なんて武勇伝のように語るつもりはない。
「やはり、魔獣を倒すのは大変ですか?ホーリアは特に多い地域と聞いています」
「少なくはないが、多いという程でもないな。想定の範囲内だ」
「しかし、ホーリアでは、魔獣との共生を目指されていると聞きましたが」
やはり、知らないはずは無かったか。
俺はソファーに座り直して、余裕があるフリをして少し笑ってみせた。
「それは、だな、」
「…………はぁ」
「…………」
横の2人が何か言ってくれるのを待ったが、ニーアはエイリアスと引き離されたショックと握手をしてもらった感動から抜け切れていないし、リリーナは帽子で顔を隠してはなから会話を拒否している。
俺は市長の視線から逃れるように、さり気無くソファーから立ち上がった。
「どこへ行かれるんですか?」
「……ちょっと、トイレに」
「出て右です」
ネイピアス市長は、鍵の刻印に皺を寄せて、俺の罪悪感を刺激する優しい笑顔で教えてくれた。
+++++
俺が応接室から出て、時間を潰すために市庁舎の中をうろうろしていると、出口の辺りにエイリアスがまだいた。
腰をかがめて赤髪の少年と話していたが、俺に気付いて少年の背中を押して庁舎の中に行かせて、立ち上がった。
俺は、エイリアスに一番気になっていたことを尋ねる。
「ブロマイドって、まさか俺のは無いよな?」
「あれは営業の名刺のようなものだから、街付の勇者は無いだろ」
剣やマントや、勇者を証明するものは色々あるが、一番信用できるのは顔ということで、フリーの勇者は仕事の時は顔写真付きライセンスを提示していた。
その複写を名刺代わりに配っていたが、写真の部分が徐々に大きくなっていき、ブロマイドになって知らない間に売られていたらしい。
顔で売っているわけでもないのに、顔写真が公の場にばら撒かれたら、俺は恥ずかしくて外を歩けない。エイリアスとは精神状態が違うんだと思う。
しかし、街付の勇者の俺はライセンスを滅多に使わないから、ブロマイドもないだろう。一先ず安心だ。
ただ気になるのは、使わなさ過ぎてライセンスをどこにしまったのか全然覚えていない。査問とか始末書とかが必要な事案ではないだろうな。突然不安になって来たから、あとで確認しておこう。
「エイリアスは、仕事か?」
「そう。今から行くところだ」
「移動魔法も使えないんだろ。不便な国だな」
「まぁ、最近は慣れて来たよ」
「フリーなのに、この街に長くいるのか?」
「まぁ……色々あるんだ」
俺は世間話のつもりで軽く振っただけなのに、エイリアスは何故か自嘲気味に笑った。
別に話したくないならそこまで興味が無いから言わないでくれて構わないのに、エイリアスは俺の様子に気付かずに話を続ける。
「俺は父が勇者だから、普通のことを普通にやれるのは当たり前だ。それ以上の事をやらないと」
「そうか……」
以前、ニーアが、エイリアスを養成校に入学した時から応援していたと言っていたことを思い出す。
養成校の入学者の情報は隠されるが、二世の奴は別だ。勇者誰々の子供が養成校に入ったという情報は入学試験の合格発表直後に世間に知れ渡る。
必要以上に期待されて、プレッシャーもあるのだろう。しかし、普通のことを普通に出来ていない状況の俺は、エイリアスの言葉に若干苛つく。
「市長は、どうだった?」
「ああ、驚いたよ」
「どうして?」
エイリアスは、狼を連想させるような金色の瞳を鋭く光らせて、灰色の髪の影から俺を見つめた。
「元外交官の市長って珍しいだろ?そうでもないか?」
「ああ、そうか」
エイリアスの表情が、元のように柔らかい笑顔に戻った。
本当は、退魔の子が市長だの外交官だの高い地位についている事が珍しい。
更に言ってしまえば、退魔の子なのにあの年齢まで生きている事に驚いた。
魔術に頼るこの世界では、医者はいるにはいるが、生物学を学んだ人間の道楽に近い。怪我や病気をしても、数少ない医者が間に合わないとか技術が足りないとかで、治療できずに子供の内に死ぬことが多く、だから退魔の子と呼ばれている。
しかし、魔術が使えないトルプヴァールには、退魔の子も多くいるのだろう。
ホーリア市で既に市民全員から嫌われている俺は、せめて隣市には好かれておこうと失礼な発言は控えた。
「ホーリアの他の2人は、魔法剣士と白魔術師か。魔法剣士は市の人間だから、魔術は使えないだろう?」
「ああ、魔法までだな。でも、白魔術師は、なんと、モべドス卒だ」
「それはすごい。でも、この国では魔法も魔術も使えないから、無駄だな」
俺が胸を張って言ったのに、エイリアスのばっさり切り捨てるような言い方に少し腹が立つ。
どうやらこいつは、人を苛つかせる話し方をする奴らしい。リリーナの代わりにキレようか少し考えたが、エイリアスは悪意は無かったらしく軽い口調で続けた。
「でも、いい仲間だと思う。俺はフリーで1人だから、仕事をしてるとどうも追い詰められるんだ。だから、今度、ホーリアに遊びに行くよ」
「ああ、ニーアが喜ぶからいつでも……じゃなくて、俺が呼んだ時に来てくれ」
「わかるよ。その方が、ホーリアがあの子に感謝されるからだろ」
俺の考えなどお見通しだったらしく、エイリアスは「必ず呼んでくれよ」と言い残してマントを翻して庁舎を出て行った。
ホーリアの古い街並みと違って、コンクリートの四角い建物が立ち並ぶ中でも一番新しそうな白い長方形のビルだ。
ニーアが散々騒いだのに、この街でエイリアスを見て黄色い叫びをあげるような人間はいなかった。顔は知られているようで、好意的な目線が僅かに集まるだけだ。おそらく、ニーアが異常なのだと思う。
「では、俺はこの辺で」
「え……」
庁舎の中の応接室までついて来ていたエイリアスが行こうとすると、付き人のように横に控えていたニーアが、ショックを受けた顔で固まった。
道すがらエイリアスが話す一言一言に感動していたニーアだったが、すぐに到着したからまともに話せていない。それは少し可哀想だと思っていたが、ニーアは俺を邪魔な看板か何かと勘違いしているようで、両手で横に退かしてエイリアスの前に出た。
「あの、私は市長に呼ばれてないので」
「そう?じゃあ、少しお茶でもする?」
はい!とニーアが元気よく返事をする前に、俺はニーアをエイリアスから引き離した。
「嘘言うな。勇者の皆様って言われたから、仲間全員行かないと」
「私が……勇者様の、仲間……?」
「そこから疑問を持つな」
「えー……ニーア行っちゃうのぉ……」
悪の組織に誘拐されたわけでもないのに今までの俺との日々を記憶から抹消しているニーアだったが、1人で俺と残されそうなリリーナが泣きそうな顔をしているのに気付いて仕方なく諦めた。
ニーアが両手の手袋を外して恐る恐る右手を差し出すと、エイリアスはそれに応えてニーアの右手を握る。
「あの……是非、今度、ホーリアに遊びに来てください……!」
「ああ、今度はゆっくり話そう」
「はい……!」
エイリアスと手を離したニーアは、握られた手を愛しむようにぎゅっと抱きしめる。俺と握手した時は、右手の手袋しか外さなかったことを少し思い出したが、まぁ些細な事だ。
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俺たちが応接室のソファーで待っていると、すぐに男性が早足に入って来た。
「よく来てくれました。ネイピアス市長です」
ネイピアス市長は30代か40代くらいの若い男性だった。
目の下に、鍵マークの刻印が入っている。まるでピエロの涙マークのようだったが、整っているとはいえ真面目そうな市長の顔には全然似合わない。
市長も好きでそれを入れているわけではないだろう。鍵の刻印は魔法が一切使えない、そして魔法が効かない「退魔の子」の印だ。
退魔の子は、どこか見えるところに鍵のマークを入れる決まりになっている。
例えば、災害で大量の怪我人が出た時、リリーナのような白魔術師が出て来て一気に治療をするが、退魔の子は治療魔法が効かない。全員治したつもりで退魔の子が放置されるような悲劇を防ぐための目印だ。
退魔の子を前にすると、魔術師たちは完璧に無視していない者として扱ったり、無駄に傲慢な態度になったり、多種多様な反応を見せる。
リリーナはどうかと心配になったが、魔術を使えない街で知らない人を前にしてそんな態度をとる余裕は無いらしい。帽子の鍔を掴んで顔を限界まで隠して、「は、はひゅ……ひぅぅ」とコミュ障っぷりを爆発させていた。
「どうも。俺はホーリアの勇者だ。あと、仲間のニーアとリリーナだ」
「皆さま、お呼び立てして申し訳ございません」
「いいや。ネイピアスは国境沿いの街だから、周辺市の勇者も把握するのか?」
「いいえ。私が諸外国に興味があるんです。私は元々は、トルプヴァールの外交官をやっていまして」
「へぇ、珍しいな」
エイリアスより少し年上くらいの年齢に見えるのに、外交官を経て市長に転職とは。
前世では1つの職場にしがみ付いて、現世でも職業の選択を間違えているんじゃないかと薄々気付き始めている俺からしてみると、羨ましい限りだ。
ネイピアス市長は、年齢の疲れが出始めている顔をしていたが、人の警戒心を消させる子供のような笑顔を見せた。
「ホーリアはどうですか?」
「いい街だ。市民は皆勇者に好意的だし、まぁ、仕事は忙しいが、だから首席卒業の俺が呼ばれたんだろうな」
横にいるニーアも聞いているのが気掛かりだ。しかし、身内ならともかく、外の人間にまで「全然働いてないから、市内放送で俺の苦情が流れちゃってさぁwww」なんて武勇伝のように語るつもりはない。
「やはり、魔獣を倒すのは大変ですか?ホーリアは特に多い地域と聞いています」
「少なくはないが、多いという程でもないな。想定の範囲内だ」
「しかし、ホーリアでは、魔獣との共生を目指されていると聞きましたが」
やはり、知らないはずは無かったか。
俺はソファーに座り直して、余裕があるフリをして少し笑ってみせた。
「それは、だな、」
「…………はぁ」
「…………」
横の2人が何か言ってくれるのを待ったが、ニーアはエイリアスと引き離されたショックと握手をしてもらった感動から抜け切れていないし、リリーナは帽子で顔を隠してはなから会話を拒否している。
俺は市長の視線から逃れるように、さり気無くソファーから立ち上がった。
「どこへ行かれるんですか?」
「……ちょっと、トイレに」
「出て右です」
ネイピアス市長は、鍵の刻印に皺を寄せて、俺の罪悪感を刺激する優しい笑顔で教えてくれた。
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俺が応接室から出て、時間を潰すために市庁舎の中をうろうろしていると、出口の辺りにエイリアスがまだいた。
腰をかがめて赤髪の少年と話していたが、俺に気付いて少年の背中を押して庁舎の中に行かせて、立ち上がった。
俺は、エイリアスに一番気になっていたことを尋ねる。
「ブロマイドって、まさか俺のは無いよな?」
「あれは営業の名刺のようなものだから、街付の勇者は無いだろ」
剣やマントや、勇者を証明するものは色々あるが、一番信用できるのは顔ということで、フリーの勇者は仕事の時は顔写真付きライセンスを提示していた。
その複写を名刺代わりに配っていたが、写真の部分が徐々に大きくなっていき、ブロマイドになって知らない間に売られていたらしい。
顔で売っているわけでもないのに、顔写真が公の場にばら撒かれたら、俺は恥ずかしくて外を歩けない。エイリアスとは精神状態が違うんだと思う。
しかし、街付の勇者の俺はライセンスを滅多に使わないから、ブロマイドもないだろう。一先ず安心だ。
ただ気になるのは、使わなさ過ぎてライセンスをどこにしまったのか全然覚えていない。査問とか始末書とかが必要な事案ではないだろうな。突然不安になって来たから、あとで確認しておこう。
「エイリアスは、仕事か?」
「そう。今から行くところだ」
「移動魔法も使えないんだろ。不便な国だな」
「まぁ、最近は慣れて来たよ」
「フリーなのに、この街に長くいるのか?」
「まぁ……色々あるんだ」
俺は世間話のつもりで軽く振っただけなのに、エイリアスは何故か自嘲気味に笑った。
別に話したくないならそこまで興味が無いから言わないでくれて構わないのに、エイリアスは俺の様子に気付かずに話を続ける。
「俺は父が勇者だから、普通のことを普通にやれるのは当たり前だ。それ以上の事をやらないと」
「そうか……」
以前、ニーアが、エイリアスを養成校に入学した時から応援していたと言っていたことを思い出す。
養成校の入学者の情報は隠されるが、二世の奴は別だ。勇者誰々の子供が養成校に入ったという情報は入学試験の合格発表直後に世間に知れ渡る。
必要以上に期待されて、プレッシャーもあるのだろう。しかし、普通のことを普通に出来ていない状況の俺は、エイリアスの言葉に若干苛つく。
「市長は、どうだった?」
「ああ、驚いたよ」
「どうして?」
エイリアスは、狼を連想させるような金色の瞳を鋭く光らせて、灰色の髪の影から俺を見つめた。
「元外交官の市長って珍しいだろ?そうでもないか?」
「ああ、そうか」
エイリアスの表情が、元のように柔らかい笑顔に戻った。
本当は、退魔の子が市長だの外交官だの高い地位についている事が珍しい。
更に言ってしまえば、退魔の子なのにあの年齢まで生きている事に驚いた。
魔術に頼るこの世界では、医者はいるにはいるが、生物学を学んだ人間の道楽に近い。怪我や病気をしても、数少ない医者が間に合わないとか技術が足りないとかで、治療できずに子供の内に死ぬことが多く、だから退魔の子と呼ばれている。
しかし、魔術が使えないトルプヴァールには、退魔の子も多くいるのだろう。
ホーリア市で既に市民全員から嫌われている俺は、せめて隣市には好かれておこうと失礼な発言は控えた。
「ホーリアの他の2人は、魔法剣士と白魔術師か。魔法剣士は市の人間だから、魔術は使えないだろう?」
「ああ、魔法までだな。でも、白魔術師は、なんと、モべドス卒だ」
「それはすごい。でも、この国では魔法も魔術も使えないから、無駄だな」
俺が胸を張って言ったのに、エイリアスのばっさり切り捨てるような言い方に少し腹が立つ。
どうやらこいつは、人を苛つかせる話し方をする奴らしい。リリーナの代わりにキレようか少し考えたが、エイリアスは悪意は無かったらしく軽い口調で続けた。
「でも、いい仲間だと思う。俺はフリーで1人だから、仕事をしてるとどうも追い詰められるんだ。だから、今度、ホーリアに遊びに行くよ」
「ああ、ニーアが喜ぶからいつでも……じゃなくて、俺が呼んだ時に来てくれ」
「わかるよ。その方が、ホーリアがあの子に感謝されるからだろ」
俺の考えなどお見通しだったらしく、エイリアスは「必ず呼んでくれよ」と言い残してマントを翻して庁舎を出て行った。
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