神酒所の権左 風聞手控
時に元号が宝暦から明和に改まって二年が経つ江戸深川は北森下町六兵衛店。ここには「神酒所(みきしょ)の権左」と二つ名を取る老練な御用聞きが居た。故あって足を悪くし撞木杖を手放せない為、八丁堀の旦那の市中御見廻りの供にも事を欠き、亡き妻が残した髪結い床の裏座敷、通称「権左親分の御神酒所」で日がな一日煙草を呑んでいる。所がどうして、二言目には「隠居も同然」が口癖の彼のもとには今日も様々な相談事や事件が持ち込まれる。
ある日、南組定町廻り、溝呂木彦右衛門は同じ南町奉行所の同僚を連れ、権左の神酒所を尋ねたのだが・・・・
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