写真

RH
時に、私は心に留めておきたいその瞬間を
カメラに入れたくなる。
暗闇の街灯が包み込む金色の銀杏が
趣深く料亭の皿に華を与える。
街をゆく或る人の感情や寒さや
また道端の蜘蛛の巣までも
写真の一切れによって
若しくはカメラを持つ手によって
切り取られるのである。
そこになんと言えばいいか、暫し私の感情を抉り取るものが映るのである。
一体これは冷たい銀杏の悪戯であろうか。
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