深緑の庭、狼は愛を喰らう

【静寂を纏う独占主義者 × 無垢な野良猫】

眞壁 路央(まかべ みちお)は、行き場のない自由を愛していた。
実家を追われ、遠縁の分家に転がり込んだ「元・お坊ちゃん」。
新しい恋を探し、夜の街を闊歩する彼を、同居人の郁杜(いくと)はいつも静かに見送っていた。

「意外と近くにいるんじゃないの。路央君のことを、一番に思ってる人」

全てを奪われると覚悟した夜。路央が最後に縋ったのは、かつての想い人ではなく、自分より一回りも大きな年下の青年の腕だった。

甘やかされる体温、逃げ場のない深い森の香り。
気づいた時にはもう、退路はすべて塞がれている。
――それは救済か、それとも静かな監禁か。
無防備な猫が、牙を隠した狼に「愛」という名の庭で喰らわれるまで。

※拙作『リバース・エゴイズム 聖母の空杯』の続編にあたりますが、単体でもお読みいただけます
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