ようこそ、むし屋へ ~深山ほたるの初恋物語~
「随分と珍しい虫をお持ちですね」
煙るような霧雨の中、ふらふら歩いていたらふいに声をかけられた。
外人のようなはっきりした目鼻立ち。いかにも柔らかそうな髪は燃えるようなオレンジ色に染まっていて、同じ色のロングジャケットが、細長い彼のシルエットを浮き立たせていた。人にしては、あまりに美しすぎる。
死神かな。なんちゃって。と、ほろ酔いのほたるは思った。
ふいに、死神の大きな手がほたるの頬を包みこむ。
すると、ほたるの切ない初恋の記憶があふれ出したのだった。
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