最高なのはいつだって九月最後の水曜日

 全国的に厳しい残暑が一転、急に秋の気配が訪れた九月最後の水曜日。
 突発的に仕事を休んだ草薙麻希奈(くさなぎまきな)は、心地好い秋風を感じながらのんびりとした一日を過ごした。

 ──明日が来なければいいのに。でも死にたくはない。今日という日がずっと繰り返されれば最高なんだけどな。

 誰もが一度は考えそうな、決して叶うわけがない願望を抱きながら夜の眠りに就いた麻希奈。しかし朝になって目を覚ますと、どういうわけか再び九月最後の水曜日だった。

「最っっっ高じゃん!!」

 次の日も、また次の日も、そのまた次の日も九月最後の水曜日。人間観察をしたり、交流したり、美味しいものを食べたり……と、毎回異なる内容のループ生活を送っていた麻希奈だったが、次の朝を迎えれば全てリセットされてしまうという現実に、徐々に虚しさを覚えるようになる。

 そんなある時、麻希奈は見た事もないような奇妙な生き物に遭遇する。好奇心から近付こうとした彼女を止めたのは、ループの記憶がある謎の少年・カズキだった。

「あの生き物は〝時空の管理者〟だ。あいつはあんたのようなイレギュラーの存在を許さない」
 
「許さない、って──」

「あいつが見える事を悟られるな。さもないと喰い殺されるぞ」

「えーと、殺されたらループ終了?」

「人生も終了だ」

 カズキは麻希奈に、ループを終わらせるよう説得する。しかし元の時間軸に戻るには〝時空の管理者〟を倒さなければならなかった。

「嫌だよ、あんなストレスだらけのつまらない日常に戻るなんて」

 ループ生活を続行する麻希奈。ところが、周囲の人々の言動や状況などに微妙な変化が生じ始め、更には〝時空の管理者〟が成長し、害悪を撒き散らすようになってしまう。

「こんなの初めてだ。俺の時だって、こんな──……」

「ていうかカズ君……きみは一体何者なの?」

 果たして、カズキの正体とは。そして麻希奈が最終的に下す決断は……。




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