愚者の箱庭
シンは極度の人嫌いだった。見た目の良さが災いし、却って人付き合いが悪いと悪評の立つタイプだ。生まれながらの債務に翻弄されながらも唯一無二の資質を見出されたシンは、怪しげな資産家のもとで異星由来の転移装置の開発に従事していた。
そんなある日、シンは何者かに実験装置に突き飛ばされ、見知らぬ世界に放り出されてしまう。飛び出したのは空の上、ネットワークは繋がらず、転送装置も消えしまった。墜落した瀕死のシンがそこで出会った(あるいは食べられかけた)のは、ニアベルという名の少女だった。
人には見えるが所々に獣めいたニアベルには、シンの言葉も常識も通じない。シンにインプラントされたアシスタントAIはニアベルを異種族と断定。たまたま持ち合わせた書籍からゴブリンと命名するのだが――。
異世界などあり得ないと主張するシンは、なるべく人との係わりを避けつつも、この世界の正体と帰還手段を探すべく行動を開始する。だがそこは、三つの種族の特異な生態と奇妙な因習が絡んだ戦乱の前夜だった。
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