雨上がりに僕らは駆けていく Part3



 1995年に起きたタイムクラッシュにより、世界は形を変えた。

 存在しなかったはずの人が存在し、存在するべきだった人が、存在しなくなった。

 「彼女」は、そのどちらにも属さない人間だった。


 今日という日は、みんな誰もが知っている1日だと思う。

 朝起きて会社に出かける人も、宿題に追われている夏休みの子供も、駅のホームに立つ街中の人や、部活帰りの女子高生も。

 私もつい先日まではそう思ってた。

 例えば今日が西暦の何年でも、夏でも冬でも、いつもと変わらない日常なんだってこと。


 だってそうでしょ?


 部屋の時計を見れば、顔色ひとつ変えずにアラームの音が鳴る。

 カーテンの向こうに広がる街の景色も、雲ひとつない晴れやかな空の青さも、いくつも見てきた当たり前を連れて、今日という日がやって来る。

 それが普通なんだって思ってた。

 「今日という日」が来ることが。

 いつもと変わらない景色を見ることが…。


 タイムクラッシュの爆心地、1995年の神戸市の街で、世界の運命は揺らぎ始めた。

 それまでにあった世界は失われ、起こるべきはずだった1つの「未来」は、永久にその行方をくらました。

 全ては、1つの「過去」を変えたことが原因だった。

 1995年1月17日、午前6時。


 あの日、あの時刻から、世界のカタチは失われたんだ。


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