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とある暴走族のリーダー、就職する‼︎
0000:仲間を引き連れる総長の名は、ノア‼︎
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ーーここは、フィックスド辺境伯のお屋敷裏山。ーー
ーー薄暗くて誰もが寄りつかない場所に、真っ白な特攻服を身に纏った青年が、トコトコ歩きながらやってきた。ーー
「アニキ、お勤めご苦労様です‼︎」
「「「ご苦労様です‼︎(大勢の青年達)」」」
「みんなも、お疲れーー‼︎ うちの司厨長からパンを分けてもらってきたぞー‼︎(白い特攻服から、大量のパンが入ったバスケットを取り出すリーゼントチャラ男)」
「「「アニキーーー‼︎(嬉し泣きする若者達)」」」
「…………。(今日も来れて良かったな。 一安心ノア)」
皆さん、こんにちは。俺は、ノア・フィックスド、……フィックスド辺境伯家の跡取りだけど、現在、伯父が辺境伯家を牛耳っているため、しがないニートをしながら、仲間たちと夜な夜なハシりに行っている。
……父と母は既に他界していて、唯一関わりのある身内は叔父家族だけだ。……けれど、叔父に自分から話しかけても大抵無視されたり、殴られたりするだけだから、出来る限り顔を合わせずに、遠い親戚と同居しているって思うようにしている。
「アニキ、パンを配ってもよろしいでしょうか!(ノアが持っていたバスケットを受け取ったモヒカン青年)」
「おう‼︎ みんなに平等に分けてくれ‼︎(モヒカン青年に背を向けて、気恥ずかしい表情を隠すノア)」
「了解です‼︎(パンを配り出すモヒカン青年)」
ここにいる仲間たちは、元々、フィックスド辺境伯領一番の飲み屋街にたむろしていたホームレス少年たちだった。……数年前、俺は、叔父との確執を心の中で上手く処理できずに、毎晩のように飲み屋街に繰り出しては、そこにいたホームレス少年たちとケンカしまくっていた。……そして当たり前かのように朝帰りをして、執事のセバスチャンに心配をかけまくる日々。……今更ながらに、あの頃の自分が恥ずかしくて仕方がない。……本当に、幼稚だった。……クールでなんでもできる叔父が与えてくるプレッシャーから逃げるように、みんなにいろいろなケンカの仕方を教えてもらってた。
「アニキ、全員に行き渡りました‼︎(最後のパンをノアに渡すモヒカン青年)」
「おう! じゃあ、食べるぞ‼︎(楽しげなノア)」
「「「ラジャーー‼︎(輪になる青年達とノア)」」」
「はい、いただきます‼︎(号令をかけるノア)」
「「「いただきます‼︎(各々食べ出す青年達)」」」
みんなは、俺の知らないことをたくさん教えてくれた。……そして、知れば知るほど、自分がただの坊ちゃんなんだなって、思い知らされた。……みんなは、住む家もない、着る服や食べる物を得る為のお金もない。……誰かのものを盗らないと生きていけない環境に身をおいていた。それに比べて自分は、住む家は冷たいが立派なものがある。着る服に困ったこともない。食べ物だって、いろいろ融通できる。……みんなと共通なことといったら、親の顔を知らないということだけだ。
「アニキ、いつもありがとうございます‼︎(パンにかぶりついてる青年)」
「アニキに会えるだけで嬉しいのに、美味しいパンまでもらっちゃって、幸せすぎますよ‼︎(感動してる青年)」
「アニキ、……パンを融通してもらって本当にありがたいのですが、無理しないでくださいね。(なんとなく、ノアの状況を察してるモヒカン青年)」
「……気にしなくていい。……育ち盛りのみんなにはこの量じゃ少ないと思うが、栄養満点だから残さず食べてくれ‼︎(キリッとノア)」
「「「ラジャーー‼︎(各々パンを食べる青年達)」」」
みんなとの出会いが、俺の生きる道を教えてくれた。
この裏山は、唯一自分が使ってもいい場所であり、何故かフィックスド家に関わる人間は、誰も寄りつかない。そのことに気がついた俺は、みんなを少しずつこの裏山に連れてきて、衣食住の手配をすることにした。現在はざっと五、六十人くらいが裏山の安全な場所に天幕を張って野宿している。……本当は、安全な自分の屋敷に招き入れたいが、屋敷には、叔父がいる。……自分がまだ読み書きの手習いをしているときに、ごくごく普通の泥棒さんが屋敷の中に入ってきたことがあった。叔父は、瞬く間に泥棒さんを捕まえて、その場で命を取った。……恐怖そのものだった。剣に付着した血痕を舐め取ったときの叔父の顔が忘れられない。……俺の仲間が、叔父の単なる遊びのせいでいなくなるのは、絶対に阻止したいから、みんなには悪いけど、天幕生活をしてもらっている。
「アニキ、今日もハシりますか?(パンを食べ終えたモヒカン)」
「おう! いつもの愛車でいくからな‼︎(張り切るノア)」
「了解です! いつでも出れるように準備してきますね‼︎(言うや否や物凄い速さで斜面を降るモヒカン青年)」
「あっ、おい‼︎(モヒカン青年の背中を見送るノア)」
「ほんと、副長は総長のことになると、周りが見えなくなっちゃうんですから。(とある青年)」
「そこが、副長の良いところなんですよ‼︎ ねっ、アニキ?(残りのパンを食べてるとある青年)」
「あ、ああ……。(ちょっと心配してるノア)」
そもそもの話、ハシるための準備って、何をするんだ? ……ママチャリで、夜の街をパトロールするだけなんだぞ? それも安全運転で低速度厳守だ。街の人たちからは、『暴走族?(笑)』って嗤われているけれども、なんら恥じることはない。みんなと同じように衣食住に困っている人を見つけたら連れて帰って、少ないけれども衣食住の手配をするのが、俺の仕事なのだ。……俺たちの活動を常日頃より誹り笑っている人達がある日突然生活に困るようなことになったとしても、勿論助けるぞ。……これが、俺を変えてくれたみんなにできる一番の恩返しだからな。
「副長は、生きるか死ぬかの瀬戸際でアニキに拾われましたからね、……思い入れがより一層強いんですよ。(青年)」
「……無茶をしなければいいんだがな。(心配ノア)」
ここは、俺達以外に入ってくる人はほとんどいないが、……万が一、叔父に会ってしまったら……。
頭の中に、謎のモヤモヤがよぎった。……ちょっと様子を見てこよう。
「みんな、ちょっと副長の様子を確かめてくるから、ゆっくりしててくれ。(身支度を整えるノア)」
「「「ラジャーー‼︎(各々自由にすごす青年達)」」」
そう。
このときの俺は知らなかった。
叔父以上の危険人物がいるだなんて……。
◇ ◇ ◇
「……ねえ、モヒカン君、……君の仲間たちのことを吐いてくれたら、この縄を解いてあげるのに、なんで僕の言う通りにしないのかな?」
「…………。(アニキのことは絶対に、俺が守ってみせる‼︎ とある男に捕縛されて身動きが取れないが、ダンマリをキメこむモヒカン青年)」
「……なかなか手強いね。……そっちがそのつもりなら、僕も本気でいっちゃうよ?(ど悪魔な魔王っぽい男性)」
ーーモヒカン青年の運命や如何に‼︎ーー
ーー薄暗くて誰もが寄りつかない場所に、真っ白な特攻服を身に纏った青年が、トコトコ歩きながらやってきた。ーー
「アニキ、お勤めご苦労様です‼︎」
「「「ご苦労様です‼︎(大勢の青年達)」」」
「みんなも、お疲れーー‼︎ うちの司厨長からパンを分けてもらってきたぞー‼︎(白い特攻服から、大量のパンが入ったバスケットを取り出すリーゼントチャラ男)」
「「「アニキーーー‼︎(嬉し泣きする若者達)」」」
「…………。(今日も来れて良かったな。 一安心ノア)」
皆さん、こんにちは。俺は、ノア・フィックスド、……フィックスド辺境伯家の跡取りだけど、現在、伯父が辺境伯家を牛耳っているため、しがないニートをしながら、仲間たちと夜な夜なハシりに行っている。
……父と母は既に他界していて、唯一関わりのある身内は叔父家族だけだ。……けれど、叔父に自分から話しかけても大抵無視されたり、殴られたりするだけだから、出来る限り顔を合わせずに、遠い親戚と同居しているって思うようにしている。
「アニキ、パンを配ってもよろしいでしょうか!(ノアが持っていたバスケットを受け取ったモヒカン青年)」
「おう‼︎ みんなに平等に分けてくれ‼︎(モヒカン青年に背を向けて、気恥ずかしい表情を隠すノア)」
「了解です‼︎(パンを配り出すモヒカン青年)」
ここにいる仲間たちは、元々、フィックスド辺境伯領一番の飲み屋街にたむろしていたホームレス少年たちだった。……数年前、俺は、叔父との確執を心の中で上手く処理できずに、毎晩のように飲み屋街に繰り出しては、そこにいたホームレス少年たちとケンカしまくっていた。……そして当たり前かのように朝帰りをして、執事のセバスチャンに心配をかけまくる日々。……今更ながらに、あの頃の自分が恥ずかしくて仕方がない。……本当に、幼稚だった。……クールでなんでもできる叔父が与えてくるプレッシャーから逃げるように、みんなにいろいろなケンカの仕方を教えてもらってた。
「アニキ、全員に行き渡りました‼︎(最後のパンをノアに渡すモヒカン青年)」
「おう! じゃあ、食べるぞ‼︎(楽しげなノア)」
「「「ラジャーー‼︎(輪になる青年達とノア)」」」
「はい、いただきます‼︎(号令をかけるノア)」
「「「いただきます‼︎(各々食べ出す青年達)」」」
みんなは、俺の知らないことをたくさん教えてくれた。……そして、知れば知るほど、自分がただの坊ちゃんなんだなって、思い知らされた。……みんなは、住む家もない、着る服や食べる物を得る為のお金もない。……誰かのものを盗らないと生きていけない環境に身をおいていた。それに比べて自分は、住む家は冷たいが立派なものがある。着る服に困ったこともない。食べ物だって、いろいろ融通できる。……みんなと共通なことといったら、親の顔を知らないということだけだ。
「アニキ、いつもありがとうございます‼︎(パンにかぶりついてる青年)」
「アニキに会えるだけで嬉しいのに、美味しいパンまでもらっちゃって、幸せすぎますよ‼︎(感動してる青年)」
「アニキ、……パンを融通してもらって本当にありがたいのですが、無理しないでくださいね。(なんとなく、ノアの状況を察してるモヒカン青年)」
「……気にしなくていい。……育ち盛りのみんなにはこの量じゃ少ないと思うが、栄養満点だから残さず食べてくれ‼︎(キリッとノア)」
「「「ラジャーー‼︎(各々パンを食べる青年達)」」」
みんなとの出会いが、俺の生きる道を教えてくれた。
この裏山は、唯一自分が使ってもいい場所であり、何故かフィックスド家に関わる人間は、誰も寄りつかない。そのことに気がついた俺は、みんなを少しずつこの裏山に連れてきて、衣食住の手配をすることにした。現在はざっと五、六十人くらいが裏山の安全な場所に天幕を張って野宿している。……本当は、安全な自分の屋敷に招き入れたいが、屋敷には、叔父がいる。……自分がまだ読み書きの手習いをしているときに、ごくごく普通の泥棒さんが屋敷の中に入ってきたことがあった。叔父は、瞬く間に泥棒さんを捕まえて、その場で命を取った。……恐怖そのものだった。剣に付着した血痕を舐め取ったときの叔父の顔が忘れられない。……俺の仲間が、叔父の単なる遊びのせいでいなくなるのは、絶対に阻止したいから、みんなには悪いけど、天幕生活をしてもらっている。
「アニキ、今日もハシりますか?(パンを食べ終えたモヒカン)」
「おう! いつもの愛車でいくからな‼︎(張り切るノア)」
「了解です! いつでも出れるように準備してきますね‼︎(言うや否や物凄い速さで斜面を降るモヒカン青年)」
「あっ、おい‼︎(モヒカン青年の背中を見送るノア)」
「ほんと、副長は総長のことになると、周りが見えなくなっちゃうんですから。(とある青年)」
「そこが、副長の良いところなんですよ‼︎ ねっ、アニキ?(残りのパンを食べてるとある青年)」
「あ、ああ……。(ちょっと心配してるノア)」
そもそもの話、ハシるための準備って、何をするんだ? ……ママチャリで、夜の街をパトロールするだけなんだぞ? それも安全運転で低速度厳守だ。街の人たちからは、『暴走族?(笑)』って嗤われているけれども、なんら恥じることはない。みんなと同じように衣食住に困っている人を見つけたら連れて帰って、少ないけれども衣食住の手配をするのが、俺の仕事なのだ。……俺たちの活動を常日頃より誹り笑っている人達がある日突然生活に困るようなことになったとしても、勿論助けるぞ。……これが、俺を変えてくれたみんなにできる一番の恩返しだからな。
「副長は、生きるか死ぬかの瀬戸際でアニキに拾われましたからね、……思い入れがより一層強いんですよ。(青年)」
「……無茶をしなければいいんだがな。(心配ノア)」
ここは、俺達以外に入ってくる人はほとんどいないが、……万が一、叔父に会ってしまったら……。
頭の中に、謎のモヤモヤがよぎった。……ちょっと様子を見てこよう。
「みんな、ちょっと副長の様子を確かめてくるから、ゆっくりしててくれ。(身支度を整えるノア)」
「「「ラジャーー‼︎(各々自由にすごす青年達)」」」
そう。
このときの俺は知らなかった。
叔父以上の危険人物がいるだなんて……。
◇ ◇ ◇
「……ねえ、モヒカン君、……君の仲間たちのことを吐いてくれたら、この縄を解いてあげるのに、なんで僕の言う通りにしないのかな?」
「…………。(アニキのことは絶対に、俺が守ってみせる‼︎ とある男に捕縛されて身動きが取れないが、ダンマリをキメこむモヒカン青年)」
「……なかなか手強いね。……そっちがそのつもりなら、僕も本気でいっちゃうよ?(ど悪魔な魔王っぽい男性)」
ーーモヒカン青年の運命や如何に‼︎ーー
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