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とある暴走族のリーダー、就職する‼︎
0006:関係は変わらない
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──ここはフィックスド辺境伯家地下室独房。──
──裏切り者キースは、気絶しているパトリック殿下を背後から抱え上げて、ナイフを殿下の首元へ突き付けた‼︎──
「アニキ、それ以上、近づかないでください‼︎ 少しでも近づくと、パトリック・サイフォンを刺しますよ!(強張った表情のモヒカン)」
「…………。(額に汗が噴き出るノア)」
──少しの沈黙の後、ノアはキースに呼びかける。──
「副長、いや、キース、……大きくなったな。(謎の酔いしれた表情のノア)」
「…………?(ノアの言動と表情に困惑するモヒカン)」
「俺とキースの出会いは、とある飲み屋街の路地だった。(酔いしれながら語り出すノア)」
「……それが、なんだっていうのですか。……今この状況で、昔話をしても、……俺の気持ちは変わりませんからね!(激しく動揺するモヒカン)」
「いやさ、…………あのとき、俺は言ったよな?」
「………………?(困惑モヒカン)」
「『悪かった。お前の事情も知らずに、盗んだものを店主に返してしまって……。』ってな。……でもな、やっぱり、俺は、……お前が盗んだものは、本当の持ち主に返してよかったって、心の中では思ってたんだよ‼︎(謎のドヤ顔をキメながら、モヒカンに突進してナイフを地面に叩き落とし、パトリック殿下を引き剥がしてモヒカンと距離を取るノア)」
「────っ⁉︎(早い! 早すぎて見えなかった!)」
「ふっふっふ、……伯父上からの暴力を避ける為に必死で鍛え上げた瞬発力を見たか‼︎(おそらく、ノアの中では一番の自慢らしい)」
「…………⁉︎(ちょっと、意味がわかりません、アニキ! ノアの言動、挙動に振り回されているモヒカン)」
「キース、……俺と、お前は、生まれも育ちも全然違う。見方も全然違う。……だから、本当は、偽善的な正義の刃をお前に振り翳したって、お前からしたら、知ったこっちゃないって、俺にはわかっている。……お前に何を言ったって聞く耳を持っていないのも承知の上だけどさ、……それでも、俺は、キースが変な方向へ行ってしまったら、全力で止めるから、そのつもりでいろよ。(良いこと言えた。嬉しいー! 自分の言葉に酔っているノア)」
「…………。(ぽかーんとお口を開けているモヒカン)」
「じゃあ、俺は今から大事な用事があるから、ちょっと待っててな。後で捕まえに来るから!(パトリック殿下も回収できたし、先輩とディナーだぞ! ハリーとヘンリーには、ものすっごくカッコいいことを言っていたが、裏切り者を放置しようとするノア)」
「あっ、待ってください、アニキ!(焦るモヒカン)」
「うん? どうした?(きょとんなノア)」
──モヒカン青年の言葉を聞きながら、歩き出したノアは、とある特徴的なタイルをちょっと強めに踏んだ!──
「ああああああー⁉︎(謎の悲鳴を上げるモヒカン)」
「ほえ?(モヒカンのリアクションにきょとんノア)」
──と、室内へ謎の白煙が、もこもこるではないか⁉︎──
『カッカッカ、……アッハハハハハハ‼︎(狂った笑い声)』
──白煙とともに、謎の声が部屋中に響き渡る‼︎──
「──っ⁉︎ この気持ちの悪い特徴的な笑い声は、叔父上⁉︎(謎の渋い顔をするノア)」
「…………。(苦しい表情のモヒカン)」
『ノアよ。……最近調子に乗りすぎているのではないか?(含み笑い)』
「調子に乗っていらっしゃるのは、叔父上ですよ。(クワっとした表情のノア)」
『お前は、出来損ないなのだから、何もしなくてよい。フィックスド辺境伯家を継ぐ者は、私の息子だけだからな。アッハハハハハハ‼︎(ノアの問いかけを無視して、嫌な感じな言い方をするノアの叔父)』
「…………叔父上、家督のこととか、俺は、どうでもいいです。それよりも、俺の仲間に手を出して、ただで済むと思っているんですか⁉︎(結構怒っているノア)」
『なに、ただの、戯れではないか。面白かったろう? お前が一番信頼するお友達が、私の駄犬に成り果てるとは! ククク、アッハハハハハ‼︎(気が狂っているノアの叔父)』
「面白いというよりかは、センスがないですよね。一つだけ言えることは、……俺は、仲間が俺のことを裏切ったとしても、俺は、仲間を見捨てるようなことはしませんから。キースが叔父上といかがわしいことをしてても、裏切らずに、警察に突き出しますからね!(白煙がもくもくと、けむる中、ドヤ顔をキメるノア)」
『……ノアよ。警察に突き出すっていうのは、裏切るということではないのか?(困惑叔父さん)』
「ふっふっふ、……叔父上、それじゃあ、あまあまのあまちゃんですよ! 本当に、わかってないですね! ……本氣で仲間を想っているならば、きちんと罪を償わせるんです! ただし、今回キースには、自首を考える猶予を与えますけれども。(叔父にズバズバものを言うノア)」
『フン! 青二才が何を言うか! お前たちには、考える猶予も与えぬぞ! 兄上と同じような理想論を言いやがって! お前たち三人とも、毒ガスで始末してくれるわ‼︎(超お怒りなノアの叔父)』
「────っ‼︎(まじかー。予想していたとはいえ、また毒ガスミッションかよ。自分独りならいいけど、今回はキースにパトリック殿下もいるからなー。脱出できるかなー。)」
『毒ガスが身体をまわるまでの時間は、約半刻。……ノアよ、健闘を祈りたいところだが、今度こそ終わりだ‼︎ アッハハハハハハ‼︎ アデュー‼︎(悪者風なノアの叔父)』
「叔父上────っ⁉︎(怒ってるノア)」
──フィックスド辺境伯との謎の通信は途絶えた‼︎──
「ふうー。(ため息)…………キース、これからどうする?(さりげなく横に近づいてきたキースに水を向けるノア)」
「………………。(複雑な表情のモヒカン)」
「まあ、いいや。……とりあえず、ここを出るぞ。」
「…………。(無言で頷くキース)」
「よっしゃ! 絶対三人全員生還だ!(ノア)」
「……ラジャー!(もうヤケクソなモヒカン)」
「…………。(ノアに俵担ぎされてるパトリック殿下)」
──三人のピンチに呼応するかのように、甲高い謎の一音が独房部屋の中で大きく鳴り響き、一羽が飛び立った‼︎──
◇ ◇ ◇
──一方、こちらはフィックスド領一の郵便局裏。──
「テイヤー! サアーっ‼︎ アリャリャリャリャセーーイ!(ハガキの束を空中に投げて、シュパパッと仕切り棚へおさめる、とある女性)」
「「……。(女性のハガキ捌きを見て、呆然な双子)」」
「いやー、さすが、レイさんは、すごいねー。勤続年数三十年超えの私でも、勝てないよー。(女性のハガキ捌きを嬉しげに見ながら、ゆっくりハガキを仕分けている郵便局長)」
「……。(いやいや、あれ、ちゃんと見て仕分けているのか⁉︎ 困惑を隠しきれないハリー)」
「……。(すごいな! ちょっと信じられないから、一部の棚の中身を見てみたら、ちゃんと各住所の棚の中に、入れるべきハガキが入っているよ! しかも、皺、曲がり、破損もしてない! 女性の技に感嘆ヘンリー)」
──局裏仕分け部屋では、主に、とある女性の激しさを超えた仕事ぶりのおかげで、着々と終わりが見えてきた!──
「ヘンリー。(横にいるヘンリーに話しかけるハリー)」
「ああ。俺たちも負けてられないな!(頷くヘンリー)」
──ハリーとヘンリーは、ノアの指示通りに一生懸命ハガキを仕分けて、謎のとある女性の動向を伺っていた。──
「いいね、いいね。若者が切磋琢磨している姿、素晴らしいよ!(ひとり嬉しそうな局長)」
──と、そこへ、とある侍姿の男が現れた。──
「局長さん、お久しぶりです!(サムライ男)」
「────っ⁉︎ これはこれは、サネユキ殿ではありませんか⁉︎ お久しぶりです! サムライの格好をして、今日はどうなされたのですか?(嬉しげな局長)」
「ええ、……実は、さっきまで、トルネードとニホン帝国の国交友好記念式典に参加してまして、トルネード側からの要望で、侍のコスプレを披露したのです。(キリッとした表情のサムライ男)」
「ほう! それはそれは、色々と楽しそう、いえ、大変でしたね!(目をキラキラ輝かせる局長)」
「なかなか恥ずかしかったですよ。ニホンならば、着物が私服なので、全然気にはならないんですけどね、ここだと悪目立ちしてしまいますから。(少し赤面するサムライ男)」
「そうですか? 悪目立ちというか、サムライ姿のサネユキ殿がカッコいいから、目立っているんだと思いますよ。……それで、本日は、どういったご用件で?(にこにこ局長)」
「(にっこり笑って)パトリックに、頼まれた物を持ってきた。……パトリックの私書箱は、空いているかな?(背中に担いでる風呂敷包みを局長の前にドンと出すサムライ男)」
「お安いご用です、サネユキ殿。(にっこり微笑んで、サムライ男の荷物を受け取る局長)」
「……なかなかなものが入っているから、厳重に保管しておいてほしい。できるかな?」
「承知致しました。少しお時間がかかりますので、休憩室にてお待ちください。(にっこり仕事顔の局長)」
「……いや、ハガキの仕分けが大変そうだから、ちょっと手伝おうかな。(仕分けトリオを見てるサムライ男)」
「そうですか。ありがとうございます。(微笑み局長)」
「久々の仕分けだ。……頑張るぞ!(サムライ男)」
──サムライ男もハガキの仕分けに参加し出した!──
「テテテテテテテテテイヤーーッ! ニシェヤーー!(淡々とハガキを投げて仕分けて収めるとある女性)」
「ウオリャアーーー‼︎ アギャアー‼︎ セーイセイセイー‼︎(女性に引けを取らないハガキ捌きなサムライ男)」
「「…………。(破壊的な仕分けを見てる双子達)」」
「……。(ハガキを投げるのは、一般的な手法なの⁉︎ 困惑しているのと同時に、ショックを受けるハリー)」
「……。(よくわからないけれど、アニキ、……アニキの職場は、修羅の世界だったのですね。 ノアに対して同情するヘンリー)」
──そうこうしているうちに、無事、本日分のハガキの仕分けを終えて、各住所の棚へ収めることができた!──
「やりましたわね!(良い汗をかいた、とある女性)」
「久しぶりに、良い運動ができたぞ!(お仕事を筋トレだと思っているサムライ男)」
「……すごい。……すごいけど、なんだろう、この複雑な心境は……。(悩むハリー)」
「……ハリー、……一応、あの女性に言っておいた方がいいかな?(ノアからの指示を実行したいヘンリー)」
「……そうだな。……言っておかないと、激しさマックスで帰られてしまうかもしれない。(切実なハリー)」
──双子は、とある女性に話しかけることにした!──
「あ、あの、すみません……。(勇気を出して女性に話しかけるハリー)」
「……? どうなされました?(きょとんな女性)」
「えっと、アニキ、いや、……ちょっと今、用事で出ているアルバイターが、お仕事が終わっても待っててくれと言っていました。(これで合っているかな? ヘンリー)」
「……ああ、ペンさんのことですわね! 承知致しました。ペンさんが帰ってくるまで、休憩室で一緒に待ちましょうか。(晩御飯のお約束ですものね! ちょっと嬉しそうな、とある女性)」
「「────っ⁉︎(ぺ、ペンさんって何⁉︎)」」
「うん? 君達、打ち上げをするのか? 私もその打ち上げに参加しよう!(さりげないサムライ男)」
「そうですわね。ハガキさん達との死闘を繰り広げ、生き残った私達。……今晩くらいは、羽目を外しても大丈夫ですのよ!(なかなか天然なとある女性)」
「そうですね。本日は、特にハガキの量が多かったので、皆さん、大変だったと思います。……ノア君が戻ってきたら、みんなでちょっと良いところのご飯屋さんに行って、美味しいものをたくさん食べましょう! ご飯代は、私が出しますからね。(いつの間にか戻ってきて、さりげなく打ち上げに参加しようとする局長)」
「いいですわね! 局長さんも、ありがとうございます!(テンション爆上がりなとある女性)」
「……。(カオス。……いつの間にかアニキと女性のデートが、打ち上げになってる。 唖然と立ち尽くすハリー)」
「……。(アニキ、ごめんなさい。アニキの望んだことの斜め上に話が進んでます。 心の中でノアに謝るヘンリー)」
「そうと決まれば、ご飯屋さんを予約せねば!(とある本棚から、お店のカタログ本を出してくるサムライ男)」
「レイさんは、何が食べたいですか?(女性に聞く局長)」
「そうですわね……。」
カッアアーーーー!(とある鴉の鳴き声)
「この鳴き声は……。(瞬時に本を投げたサムライ男)」
「「「「────っ⁉︎(困惑する四人)」」」」
──と、そこへ、毛並の美しい三本足の珍しいカラスを肩に乗せた受付嬢が、サムライ男の前までやってきた‼︎──
「サネユキ様、……パトリック殿下の八咫烏ちゃんが、御面会を希望されていらっしゃいますよ。(穏やかな受付嬢)」
『パトリック、ホカ、サンニン、キケン。トジコメラレテ、ドクガススッテ、シニソウ。(つぶらな瞳のヤタガラス)』
「「「「「────っ⁉︎(驚く五人)」」」」」
──果たして、ノアとキースとパトリック殿下は、毒ガスが充満する独房から脱出することができるのだろうか⁉︎──
──裏切り者キースは、気絶しているパトリック殿下を背後から抱え上げて、ナイフを殿下の首元へ突き付けた‼︎──
「アニキ、それ以上、近づかないでください‼︎ 少しでも近づくと、パトリック・サイフォンを刺しますよ!(強張った表情のモヒカン)」
「…………。(額に汗が噴き出るノア)」
──少しの沈黙の後、ノアはキースに呼びかける。──
「副長、いや、キース、……大きくなったな。(謎の酔いしれた表情のノア)」
「…………?(ノアの言動と表情に困惑するモヒカン)」
「俺とキースの出会いは、とある飲み屋街の路地だった。(酔いしれながら語り出すノア)」
「……それが、なんだっていうのですか。……今この状況で、昔話をしても、……俺の気持ちは変わりませんからね!(激しく動揺するモヒカン)」
「いやさ、…………あのとき、俺は言ったよな?」
「………………?(困惑モヒカン)」
「『悪かった。お前の事情も知らずに、盗んだものを店主に返してしまって……。』ってな。……でもな、やっぱり、俺は、……お前が盗んだものは、本当の持ち主に返してよかったって、心の中では思ってたんだよ‼︎(謎のドヤ顔をキメながら、モヒカンに突進してナイフを地面に叩き落とし、パトリック殿下を引き剥がしてモヒカンと距離を取るノア)」
「────っ⁉︎(早い! 早すぎて見えなかった!)」
「ふっふっふ、……伯父上からの暴力を避ける為に必死で鍛え上げた瞬発力を見たか‼︎(おそらく、ノアの中では一番の自慢らしい)」
「…………⁉︎(ちょっと、意味がわかりません、アニキ! ノアの言動、挙動に振り回されているモヒカン)」
「キース、……俺と、お前は、生まれも育ちも全然違う。見方も全然違う。……だから、本当は、偽善的な正義の刃をお前に振り翳したって、お前からしたら、知ったこっちゃないって、俺にはわかっている。……お前に何を言ったって聞く耳を持っていないのも承知の上だけどさ、……それでも、俺は、キースが変な方向へ行ってしまったら、全力で止めるから、そのつもりでいろよ。(良いこと言えた。嬉しいー! 自分の言葉に酔っているノア)」
「…………。(ぽかーんとお口を開けているモヒカン)」
「じゃあ、俺は今から大事な用事があるから、ちょっと待っててな。後で捕まえに来るから!(パトリック殿下も回収できたし、先輩とディナーだぞ! ハリーとヘンリーには、ものすっごくカッコいいことを言っていたが、裏切り者を放置しようとするノア)」
「あっ、待ってください、アニキ!(焦るモヒカン)」
「うん? どうした?(きょとんなノア)」
──モヒカン青年の言葉を聞きながら、歩き出したノアは、とある特徴的なタイルをちょっと強めに踏んだ!──
「ああああああー⁉︎(謎の悲鳴を上げるモヒカン)」
「ほえ?(モヒカンのリアクションにきょとんノア)」
──と、室内へ謎の白煙が、もこもこるではないか⁉︎──
『カッカッカ、……アッハハハハハハ‼︎(狂った笑い声)』
──白煙とともに、謎の声が部屋中に響き渡る‼︎──
「──っ⁉︎ この気持ちの悪い特徴的な笑い声は、叔父上⁉︎(謎の渋い顔をするノア)」
「…………。(苦しい表情のモヒカン)」
『ノアよ。……最近調子に乗りすぎているのではないか?(含み笑い)』
「調子に乗っていらっしゃるのは、叔父上ですよ。(クワっとした表情のノア)」
『お前は、出来損ないなのだから、何もしなくてよい。フィックスド辺境伯家を継ぐ者は、私の息子だけだからな。アッハハハハハハ‼︎(ノアの問いかけを無視して、嫌な感じな言い方をするノアの叔父)』
「…………叔父上、家督のこととか、俺は、どうでもいいです。それよりも、俺の仲間に手を出して、ただで済むと思っているんですか⁉︎(結構怒っているノア)」
『なに、ただの、戯れではないか。面白かったろう? お前が一番信頼するお友達が、私の駄犬に成り果てるとは! ククク、アッハハハハハ‼︎(気が狂っているノアの叔父)』
「面白いというよりかは、センスがないですよね。一つだけ言えることは、……俺は、仲間が俺のことを裏切ったとしても、俺は、仲間を見捨てるようなことはしませんから。キースが叔父上といかがわしいことをしてても、裏切らずに、警察に突き出しますからね!(白煙がもくもくと、けむる中、ドヤ顔をキメるノア)」
『……ノアよ。警察に突き出すっていうのは、裏切るということではないのか?(困惑叔父さん)』
「ふっふっふ、……叔父上、それじゃあ、あまあまのあまちゃんですよ! 本当に、わかってないですね! ……本氣で仲間を想っているならば、きちんと罪を償わせるんです! ただし、今回キースには、自首を考える猶予を与えますけれども。(叔父にズバズバものを言うノア)」
『フン! 青二才が何を言うか! お前たちには、考える猶予も与えぬぞ! 兄上と同じような理想論を言いやがって! お前たち三人とも、毒ガスで始末してくれるわ‼︎(超お怒りなノアの叔父)』
「────っ‼︎(まじかー。予想していたとはいえ、また毒ガスミッションかよ。自分独りならいいけど、今回はキースにパトリック殿下もいるからなー。脱出できるかなー。)」
『毒ガスが身体をまわるまでの時間は、約半刻。……ノアよ、健闘を祈りたいところだが、今度こそ終わりだ‼︎ アッハハハハハハ‼︎ アデュー‼︎(悪者風なノアの叔父)』
「叔父上────っ⁉︎(怒ってるノア)」
──フィックスド辺境伯との謎の通信は途絶えた‼︎──
「ふうー。(ため息)…………キース、これからどうする?(さりげなく横に近づいてきたキースに水を向けるノア)」
「………………。(複雑な表情のモヒカン)」
「まあ、いいや。……とりあえず、ここを出るぞ。」
「…………。(無言で頷くキース)」
「よっしゃ! 絶対三人全員生還だ!(ノア)」
「……ラジャー!(もうヤケクソなモヒカン)」
「…………。(ノアに俵担ぎされてるパトリック殿下)」
──三人のピンチに呼応するかのように、甲高い謎の一音が独房部屋の中で大きく鳴り響き、一羽が飛び立った‼︎──
◇ ◇ ◇
──一方、こちらはフィックスド領一の郵便局裏。──
「テイヤー! サアーっ‼︎ アリャリャリャリャセーーイ!(ハガキの束を空中に投げて、シュパパッと仕切り棚へおさめる、とある女性)」
「「……。(女性のハガキ捌きを見て、呆然な双子)」」
「いやー、さすが、レイさんは、すごいねー。勤続年数三十年超えの私でも、勝てないよー。(女性のハガキ捌きを嬉しげに見ながら、ゆっくりハガキを仕分けている郵便局長)」
「……。(いやいや、あれ、ちゃんと見て仕分けているのか⁉︎ 困惑を隠しきれないハリー)」
「……。(すごいな! ちょっと信じられないから、一部の棚の中身を見てみたら、ちゃんと各住所の棚の中に、入れるべきハガキが入っているよ! しかも、皺、曲がり、破損もしてない! 女性の技に感嘆ヘンリー)」
──局裏仕分け部屋では、主に、とある女性の激しさを超えた仕事ぶりのおかげで、着々と終わりが見えてきた!──
「ヘンリー。(横にいるヘンリーに話しかけるハリー)」
「ああ。俺たちも負けてられないな!(頷くヘンリー)」
──ハリーとヘンリーは、ノアの指示通りに一生懸命ハガキを仕分けて、謎のとある女性の動向を伺っていた。──
「いいね、いいね。若者が切磋琢磨している姿、素晴らしいよ!(ひとり嬉しそうな局長)」
──と、そこへ、とある侍姿の男が現れた。──
「局長さん、お久しぶりです!(サムライ男)」
「────っ⁉︎ これはこれは、サネユキ殿ではありませんか⁉︎ お久しぶりです! サムライの格好をして、今日はどうなされたのですか?(嬉しげな局長)」
「ええ、……実は、さっきまで、トルネードとニホン帝国の国交友好記念式典に参加してまして、トルネード側からの要望で、侍のコスプレを披露したのです。(キリッとした表情のサムライ男)」
「ほう! それはそれは、色々と楽しそう、いえ、大変でしたね!(目をキラキラ輝かせる局長)」
「なかなか恥ずかしかったですよ。ニホンならば、着物が私服なので、全然気にはならないんですけどね、ここだと悪目立ちしてしまいますから。(少し赤面するサムライ男)」
「そうですか? 悪目立ちというか、サムライ姿のサネユキ殿がカッコいいから、目立っているんだと思いますよ。……それで、本日は、どういったご用件で?(にこにこ局長)」
「(にっこり笑って)パトリックに、頼まれた物を持ってきた。……パトリックの私書箱は、空いているかな?(背中に担いでる風呂敷包みを局長の前にドンと出すサムライ男)」
「お安いご用です、サネユキ殿。(にっこり微笑んで、サムライ男の荷物を受け取る局長)」
「……なかなかなものが入っているから、厳重に保管しておいてほしい。できるかな?」
「承知致しました。少しお時間がかかりますので、休憩室にてお待ちください。(にっこり仕事顔の局長)」
「……いや、ハガキの仕分けが大変そうだから、ちょっと手伝おうかな。(仕分けトリオを見てるサムライ男)」
「そうですか。ありがとうございます。(微笑み局長)」
「久々の仕分けだ。……頑張るぞ!(サムライ男)」
──サムライ男もハガキの仕分けに参加し出した!──
「テテテテテテテテテイヤーーッ! ニシェヤーー!(淡々とハガキを投げて仕分けて収めるとある女性)」
「ウオリャアーーー‼︎ アギャアー‼︎ セーイセイセイー‼︎(女性に引けを取らないハガキ捌きなサムライ男)」
「「…………。(破壊的な仕分けを見てる双子達)」」
「……。(ハガキを投げるのは、一般的な手法なの⁉︎ 困惑しているのと同時に、ショックを受けるハリー)」
「……。(よくわからないけれど、アニキ、……アニキの職場は、修羅の世界だったのですね。 ノアに対して同情するヘンリー)」
──そうこうしているうちに、無事、本日分のハガキの仕分けを終えて、各住所の棚へ収めることができた!──
「やりましたわね!(良い汗をかいた、とある女性)」
「久しぶりに、良い運動ができたぞ!(お仕事を筋トレだと思っているサムライ男)」
「……すごい。……すごいけど、なんだろう、この複雑な心境は……。(悩むハリー)」
「……ハリー、……一応、あの女性に言っておいた方がいいかな?(ノアからの指示を実行したいヘンリー)」
「……そうだな。……言っておかないと、激しさマックスで帰られてしまうかもしれない。(切実なハリー)」
──双子は、とある女性に話しかけることにした!──
「あ、あの、すみません……。(勇気を出して女性に話しかけるハリー)」
「……? どうなされました?(きょとんな女性)」
「えっと、アニキ、いや、……ちょっと今、用事で出ているアルバイターが、お仕事が終わっても待っててくれと言っていました。(これで合っているかな? ヘンリー)」
「……ああ、ペンさんのことですわね! 承知致しました。ペンさんが帰ってくるまで、休憩室で一緒に待ちましょうか。(晩御飯のお約束ですものね! ちょっと嬉しそうな、とある女性)」
「「────っ⁉︎(ぺ、ペンさんって何⁉︎)」」
「うん? 君達、打ち上げをするのか? 私もその打ち上げに参加しよう!(さりげないサムライ男)」
「そうですわね。ハガキさん達との死闘を繰り広げ、生き残った私達。……今晩くらいは、羽目を外しても大丈夫ですのよ!(なかなか天然なとある女性)」
「そうですね。本日は、特にハガキの量が多かったので、皆さん、大変だったと思います。……ノア君が戻ってきたら、みんなでちょっと良いところのご飯屋さんに行って、美味しいものをたくさん食べましょう! ご飯代は、私が出しますからね。(いつの間にか戻ってきて、さりげなく打ち上げに参加しようとする局長)」
「いいですわね! 局長さんも、ありがとうございます!(テンション爆上がりなとある女性)」
「……。(カオス。……いつの間にかアニキと女性のデートが、打ち上げになってる。 唖然と立ち尽くすハリー)」
「……。(アニキ、ごめんなさい。アニキの望んだことの斜め上に話が進んでます。 心の中でノアに謝るヘンリー)」
「そうと決まれば、ご飯屋さんを予約せねば!(とある本棚から、お店のカタログ本を出してくるサムライ男)」
「レイさんは、何が食べたいですか?(女性に聞く局長)」
「そうですわね……。」
カッアアーーーー!(とある鴉の鳴き声)
「この鳴き声は……。(瞬時に本を投げたサムライ男)」
「「「「────っ⁉︎(困惑する四人)」」」」
──と、そこへ、毛並の美しい三本足の珍しいカラスを肩に乗せた受付嬢が、サムライ男の前までやってきた‼︎──
「サネユキ様、……パトリック殿下の八咫烏ちゃんが、御面会を希望されていらっしゃいますよ。(穏やかな受付嬢)」
『パトリック、ホカ、サンニン、キケン。トジコメラレテ、ドクガススッテ、シニソウ。(つぶらな瞳のヤタガラス)』
「「「「「────っ⁉︎(驚く五人)」」」」」
──果たして、ノアとキースとパトリック殿下は、毒ガスが充満する独房から脱出することができるのだろうか⁉︎──
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