フィックスド辺境伯家の秘密(元夫の隠し子は、私が立派に育ててみせます‼︎)

星 佑紀

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とある暴走族のリーダー、就職する‼︎

0024:とある人物ランキング!

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【side ノア・フィックスド(新米辺境伯)】

⭐︎ ここは、フィックスド辺境伯邸、母屋応接間。当主であるノアと、ノアの自称親友パトリック殿下に、フィックスド領の北側国境沿い付近にあるフローレンス領当主コレクトが、膝を付き合わせていた。


「コレクト様、命を狙われていらっしゃるとは、どういうことなのですか?(真剣ノア)」

「……実は最近、……自分以外誰もいないところで、謎の視線を感じるようになってしまって、……夜も眠れないんだ。(目の下がパンダなコレクト)」

「なるほど。……誰もいないのに、誰かから見られていらっしゃる感覚があるのですね。パトリック殿下、どうですか?(ふむふむなノア)」

「そうだね。……ものは、付いてないと思うけど。(瞳孔を光らせる殿下)」

「そうですか……。(考え込むノア)」


 みなさん、こんにちは。フィックスド領の当主ノアです。現在俺は、デモ集会の長であるパトリック殿下と一緒に、お隣の辺境伯コレクト・フローレンス様のお悩みを聞いているところなのだが、その内容が色々と不気味で複雑すぎる。

 誰もいない場所から、視線を感じる、か。

 それは、幽霊や生霊なのかなと考えて、謎の能力である『霊力』を操るパトリック殿下に『見えざるもの』を見てもらったけれど、それっぽいものは、見えなかったらしい。

 ということは、人間の仕業なのか……それとも、コレクト様のただの勘違いなのか。

 この答えをすぐに出すことは困難だが、コレクト様が嘘を言っているようには全然見えない。かなりの期間、寝てないことは、コレクト様のお顔を見れば、一目瞭然だ。

「コレクト様、……その謎の視線について、何か心当たりはありませんか?(真面目ノア)」

「そうだな……強いて言えば、オリビアとアルトではない事は確かだ。それと、使用人や、領民達の視線でもない。……なんて言えばいいのか、とても難しいが、とにかく、真っ黒ブラックなオーラを感じるぞ。(真剣コレクト)」

「真っ黒でブラックということは、……パトリック殿下ですかね……。(一応真剣ノア)」

「いやいや違うでしょ! こんなに純粋で真っ白な僕のどこが真っ黒なのさ!(隣にいるノアをバシバシ叩く殿下)」

「ははは、冗談ですよ、冗談。(殿下、あなたは確実に絶対ブラックです! ノア)」

「心の中だからって、何を思ってもいいと思うなよ、ノア‼︎ 全部丸聞こえだからな‼︎(更に強く叩く殿下)」

「でんか、ギブ! ギブアップ‼︎(冗談抜きで痛いノア)」

「覚えておきなよ! 僕はミラクルスノーホワイトな男ってことをね‼︎」

「は、はい! 覚えておきますよ‼︎(疲労困憊なノア)」

「ははは! パトリック殿下が真っ白なら、私は、純白だな‼︎(なかなか空気が読めないコレクト)」

「……少なからずコレクト君は、灰色だと思うけどね。」

「ガーーン‼︎(あまりショックを受けていないコレクト)」

「まあまあ、茶番はここまでにして、……コレクト様、この事を奥様にご相談はされたのですか?(ノア)」

「いや、……オリビアは、いつも領地経営で忙しいから、言わないつもりだ。(コレクト)」

「言ってください、コレクト様。……俺、……コレクト様に頼まれて、奥様と一緒にお仕事した事がありますが、奥様は、正義感の塊みたいなお方です。奥様なら、コレクト様の事を全力で守ってくださいますよ。(先輩は、結婚されても全然変わっていなかった。絶対、コレクト様をサポートしてくれる筈だ。 ノア)」

「……そうかもしれない。だがな、ノア君。俺も男なんだ。……オリビアに守ってもらおうとは、一切思わないし、オリビアには、アルトを託したい。(真剣なコレクト)」

「コレクト様……。(うるうるなノア)」

「というわけで、私が独自に調べて統計学に落とし込んだ『コレクト・フローレンスの命を狙っている人物ランキング』を見てほしい!(どこからともなく謎のフリップボードを出してくるコレクト)」

「「──っ⁉︎(ちょっと意味がわからないノアと殿下)」」

 いやいやいや、……ご自身で調べてランキング化するって、コレクト様、何をやってるんだよ⁉︎

「あの、そのランキングは……。(呆然なノア)」

「おう、完全に自作したものだから、ちょっと間違ってるかもしれんな。(目の下がパンダだけど、無理矢理微笑むコレクト)」

 ……わからない。……先輩もなかなか、ど天然なところがあると思っているけど、……コレクト様は、先輩のもっと上をいってる。なんにせよ、そのランキングを作って虚しくなかったのかな。……俺は見るだけでも、とても苦しいのに。……コレクト様は、心が弱り過ぎてて、自虐に走りまくっている。

「それでは、数ある中でノミネートされた第三位は、……実父の元フローレンス辺境伯でーーす!(ぺらっと三位の部分の紙をめくって無理矢理微笑むコレクト)」

「「──っ⁉︎(ええええ⁉︎ 言葉が出ない二人)」」

「理由は、……俺が居ない間に、メアリーとイチャイチャしている実父の姿を、たまたま設置していた監視カメラで捉えてしまってな。……メアリー欲しさに俺を殺そうとしている可能性がある。(ドヤ顔のコレクト)」

「や、やめましょう、コレクト様! そそそんなことを言わないでください‼︎ ねっ?(もの凄く困っているノア)」

「愛人の実父に手を出すこのメアリーっていう女、……絶対関わりたくないな。(ゴミ虫を見るような顔でフリップボードを睨みつける殿下)」

「ノア君、殿下、……これは、私の業。カルマなのだ。オリビアを裏切った私は、その因縁を受けなければならない。」

「コレクト様……。(とても複雑なノア)」

「では、どんどんいくぞ! 私を殺そうとしている人物第二位は、『俺の実弟キリト』だ‼︎(またもやドヤ顔でぺりっと紙をめくるコレクト)」

「「──っ‼︎(ドヤ顔で言うことじゃない‼︎)」」

「その訳は、……私とオリビアが結婚した当初から、メアリーがキリトの部屋に逢引きしている姿を、隠れてコソコソ見ていたからだ。(サラッと爆弾発言をかますコレクト)」

「もうやめてえええ‼︎ コレクト様、どうしてそんなメアリー様のことを愛人として優遇していらっしゃるのですか⁉︎ 俺には全然理解出来ないんですけど⁉︎(信じられないノア)」

「ははは! 驚くのはまだまだ早いぞ、ノア君! ……実は、私はメアリーと肉体関係は結んでいない。とすると、アルトは一体、なのかな?(ドヤ顔コレクト)」

「「──っ⁉︎(どういうこと⁉︎ 驚愕の二人)」」

 えっ? コレクト様って、普通に一線を超えてそうな雰囲気を醸し出しているのに、超えていないんですか……。とても、意外すぎる! ……もし、浮気とか不倫の定義が、肉体関係の有無だけで決められるのならば、……コレクト様は、潔白なの? ……わからない。コレクト様が全然わからないよおおお⁉︎

 そんでもって、アルト君のお父上がコレクト様ではないって、言いたいんですよね? どうすればいいんだ、これ? どうしようもできない事実だよね、この問題は⁉︎

「……よくわからんけど、コレクト君の扱いが嫡男のクセに酷過ぎるということは、よくわかったよ。(渋顔殿下)」

「そうですね、パトリック殿下。……私も、自分で言うのもなんですが、……家族からは、お荷物だと思われていますからね。(ドヤ顔コレクト)」

「お荷物なんかじゃないですよ、コレクト様! 何せ、コレクト様には、スーパーストロング奥様がいらっしゃるではないですか! 大丈夫ですよ、コレクト様‼︎(恋敵に塩を送りたくはないけれど、コレクトの待遇のあまりの酷さから肩をもちだすノア)」

「ありがとう、ノア君。……そんな事を言ってくれるのは、ノア君だけだよ。(うるうるの目の下真っ黒なコレクト)」

「コレクト様……。(ジーンと温もりが染み渡るノア)」

「ということで、えある第一位は、『首都貴族の裏ボス的存在の』だ。(ジト目のコレクト)」

「「────っ⁉︎(なんだって⁉︎ 唖然の二人)」」

「…………。(ニヤリと笑うドヤ顔のコレクト)」


⭐︎ コレクトという男、……裏の何かを知っている⁉︎
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