フィックスド辺境伯家の秘密（元夫の隠し子は、私が立派に育ててみせます‼︎）

とある暴走族のリーダー、就職する‼︎

0038：ノアの伯父とメイド長

⭐︎ ここは、フィックスド辺境伯邸母屋会議室。

「アンドリューさまー、……私に会いたくなるのは充分理解できますが、居室にいらしてくださいって、言ったではないですか。（今までの高圧的な態度には程遠い、真逆の甘々な一面をノアの伯父だけに見せる謎の女性）」

「いやー、ええっとー、……ノアに用事があってさ。（満更でも無さそうな表情のノアの伯父アンドリュー）」

「……ヤンキー辺境伯様？（目を吊り目にして、ボソッと嫌そうに呟く謎の女性）」

「「「……。（こわいいい⁉︎　ガクブルの三人）」」」

「アメリ謎の女性も一緒に聞いてほしい。……ノアが仮のフィックスド本家継承式を受けて早四年が経った。そこで、そろそろ本継承だなと思って、宰相のラーズベルト公爵と話し合いをした結果、明日に儀式をする事が決まったよ。招待するご要人方のスケジュール調整の関係上、いきなりになってしまったけれど、明日を乗り越えられたら、ノアは、晴れて一人前のフィックスド辺境伯当主だ。ノア、……長い間よく頑張ったね。（話している途中から両目を潤ませるノアの伯父）」

「伯父上……。（あれって、仮の継承式だったの⁉︎　色々初耳すぎて、頭が混乱しているノア）」

「アメリにも、いろいろ心配をかけたね。……本当にありがとう。（謎の女性にお礼を言うノアの伯父）」

「アンドリューさま……。（ウルウルまなこな謎の女性）」

「ノアの子育ての為に、わざわざ遠いところから来てもらって、感謝してもしきれないよ。……明日が終わったら、少し実家に戻ってゆっくりしてきていいからね。（謎の女性を労うノアの伯父）」

「……ということは、アンドリュー様はもう、自由の身なのですね。（一瞬で目の色が変わる謎の女性）」

「うん？　いや、陰でノアのお手伝いをしたいから、私は明日も仕事三昧だよ。（にっこり微笑むノアの伯父）」

「…………何故ですか？（目を吊り目にする謎の女性）」

「ほえ？（きょとん顔のノアの伯父）」

「だって、ヤンキー辺境伯様は、既に大人。フィックスド領主としての仕事も一通りなされていらっしゃいますので、アンドリューさまの出る幕なんて無いと思うのです。（至極冷静にノアの伯父に自身の想いを伝える謎の女性）」

「そうだね。ノアは、立派な自慢の領主だよ。……でも、これからトラブルが起こるかもしれないし、もう少ししたら、ノアにも、お嫁さんが出来て、いずれは、赤ちゃんを授かったときに、お世話を率先してやりたいんだ。……兄上のお孫ちゃんにあたるからね。（優しく微笑むノアの伯父）」

「…………アンドリューさまご自身は、ご結婚したいとお考えになられないのですか？（段々と自身の周りにドス黒いオーラを撒き散らし始める謎の女性）」

「……えへへ。……もう私は、歳だからね。……分家で財産も持っていない、尚且つ初老の男と結婚してくれるヒトなんて、いないよ、アメリ。……アメリは、本当に優しいね。……私は、独りで逝く覚悟は出来ているから、気にしないで。（謎の女性の周りが真っ黒になっていることにも気づいていない、超鈍感なノアの伯父）」

「…………じゃかあしいわああ、ワレがあああ‼︎（ノアの伯父の言葉にブチ切れて、ノアの伯父に向かって突進し、ノアの伯父を押し倒す謎の女性）」

「「「「「「──っ⁉︎（驚愕の周り）」」」」」」

「あ、アメリ⁉︎　一体全体、どうしたの？（この後に及んできょとん顔のノアの伯父）」

「……私と、結婚してくれるって、……いったじゃないですか……‼︎（両目からボタボタと涙を零しながら、ノアの伯父に縋り付く謎の女性）」

「────っ‼︎（ハッとするノアの伯父）」

「学校を卒業したら、……結婚して、……子どもも十人授かって、……赤い屋根の小さい家で、質素でも、貧乏でも、幸せな夫婦生活を営もうって、約束したのに……‼︎（鼻水もぐずぐずさせながら、ノアの伯父を睨みつける謎の女性）」

「……十人の子ども？（口をあんぐりと開けるノア）」

「あ、あめり、……ちょ、ちょっと、一旦、落ち着いて……‼︎（周りを見渡して、大慌てなノアの伯父）」

「落ち着ける筈がありませんわよ‼︎　それだけじゃない。……私達の可愛い可愛い双子ちゃん達は、どうするのですか⁉︎（ノアの伯父の胸ぐらを掴んで、わっしゃわっしゃ揺らしまくる謎の女性）」

「うわわっ⁉︎　ご、ごめん、アメリ、本当にごめんなさい‼︎（謎の女性に身体を揺さぶられて、目が回るノアの伯父）」

「えっ……？　双子……？　……メイド長と伯父上との間に授かった⁉︎（青天の霹靂なノア）」

「あんなに毎晩私を求めてきたのに、……双子ちゃんが生まれても、夫婦生活はずっと長く続いていたのに……。……昨日だって、一生懸命、私に……。（顔を真っ赤にさせながら赤裸々に話す謎の女性）」

「ちょっ、ストップー‼︎　アメリ、一旦落ち着こう？　ノアが見てるから‼︎　ものすっごく、ノアが引いているから‼︎（咄嗟に謎の女性のお口を自身の両手で塞ぐノアの伯父）」

「ムゴッ……⁉︎　フゴオオオ‼︎（激おこな謎の女性）」

「……。（とても冷めた目で自身の伯父を見てるノア）」

「ノア、……私は、不誠実なことは、一切、やっていない‼︎　信じてくれ！（ノアに嫌われたくないノアの伯父）」

「伯父上。覚悟を決めましょう。（険しい表情のノア）」

「ノア……。（困り眉なノアの伯父）」

「俺が、双子ちゃんを連れてきます。伯父上、……双子ちゃんの居場所を教えてください。（フツフツと静かな怒りを身に纏ったフィックスド辺境伯本家当主ノア）」

「「──っ‼︎（ノアの変化した雰囲気に怖気付く、謎の女性とノアの伯父）」」


⭐︎ 一体ノアは、この状況をどのように治めるのか？