夫には忘れられない人がいる
「……済まないが、あなたを妻とも家族とも思えない」
クロエが王命で嫁いだその日、書類上の夫は今にも死にそうな目と声でそう言った。
夫の背後にはだいぶ年上の前妻の大きな肖像画。そして間にはおろおろと立つ、肖像画そっくりの半透明の“彼女”が。
「旦那様、憑かれてませんか?」
「ああ、疲れている」
*
“辺境伯”なんて立派なものではない、辺境にあるいち伯爵家。
幼くして両親を亡くしてすぐに結婚した領主・アルバートが、再び妻を失って一年以上。辣腕と名高かった彼は塞ぎこみ、殆ど一人で過ごしているという。
徐々に荒れる耕地に、滞る王家との共同事業。迫る王都の大きな祝祭でも、王へ捧げものをする義務を果たせそうにない。
事態を重く見た国王は、王妃の侍女であり高名な教会の令嬢・クロエを後妻として送り込む。
一年経っても変わらなければ、領主の地位から開放すると彼に約束をして。
妻兼監視役でありながら、葬儀を見慣れているクロエは夫の無気力さに死の気配を感じ取る。
そこに幽霊となった前妻・ローズマリーが度々訴えかけてきて……。
「分かりました、一緒に解決しましょう」
クロエは手帳片手にローズマリーの指さしでヒントを貰いながら、アルバートに生きてもらいたいと願うのだが――。
この作品は他サイトにも掲載しています。
※2万字以内の短編です。
※誤って完結設定のまま公開してしまいました。申し訳ありません。
あなたにおすすめの小説
【完結】姉への対抗心で私と結婚した夫に、さようなら。
姉の駆け落ちで、代わりに姉の婚約者だった公爵子息と結婚した私。
五人の子供にも恵まれ、私は夫に愛されていると信じていた。
けれど、夫の書斎で見つけた一通の報告書が、八年間信じてきた幸せを覆していく。
※二章は本編の番外編で、ラブコメです。
愛してしまって、ごめんなさい
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
私のことを愛していなかった貴方へ
婚約者の心には愛する女性がいた。
でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。
でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。
だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。
夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。
*設定はゆるいです。
政略結婚した夫に毒を盛られたので潔く死のうとしたら溺愛されてるんですが、何か間違えました?
政略結婚で公爵家に嫁いだクリスティーナ。夫フェリクスとは、礼節を守る穏やかな関係を築けている、と思っていた。
だがある日、クリスティーナの実家が失脚してしまう。
いよいよ離縁か――そう覚悟を決めていたクリスティーナは、食卓に出された毒杯を前にして、自分が死を望まれているのだと思い込む。
震える手で毒を口にしたクリスティーナだったが、夫の反応は予想外のものだった。
なぜか過保護になった夫と、理由がわからず困惑する妻の、勘違いラブコメ
夫は私を愛してくれない
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
【完結】貴方をお慕いしておりました。婚約を解消してください。
公爵家の次男であるエルドは、伯爵家の次女リアーナと婚約していた。
リアーナは何かとエルドを苛立たせ、ある日「二度と顔を見せるな」と言ってしまった。
その翌日、二人の婚約は解消されることになった。
急な展開に困惑したエルドはリアーナに会おうとするが……。
結婚前夜、花嫁は静かに笑う
番との愛は神聖なもの。何人たりともそれを侵すことなど許されない。
――美しくも尊い、永遠の愛。
番との愛を優先するのは暗黙の了解。幼子さえ知っている、その不文律を破ろうとする愚か者はいない。
――というのなら、その愛に従って幸せになってもらいましょう。
※明るい話ではありませんので、苦手な方はお気をつけください(._.)
この作品は感想を受け付けておりません。