魔法が使えない俺のボロ銭湯に、世界最強の英雄たちがこっそり通ってくる
魔法がすべてを支配する王都で、ただ一人、魔法を使えない男がいた。名はガレオ。裏路地でボロい銭湯「裏のゆ」を営む、しがない四十半ばの男だ。
だが、その湯には秘密がある。剣聖も、賢者も、聖女も――名だたる英雄たちが、肩書きを脱いでこっそりこの湯に通ってくる。魔法ではどうしても抜けない疲れ「澱み」を、ガレオの焚く火だけが、すっと流してしまうのだ。
失われた一族「火守」の末裔。世界でただ一人、英雄たちの澱みを癒せる男。――だが、その事実を、当の本人だけが知らない。
「うちはただの銭湯ですよ」と首をかしげるガレオの湯に、今日もまた、世界を背負った誰かが、そっとのれんをくぐる。
肩書きを脱げる場所の、あたたかな群像ものがたり。
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