味覚ゼロの元パティシエ、祖母のボロ甘味処を“妖怪カフェ”にしたら行列が止まらない

東京で伸び盛りだったパティシエ・澪(26)は事故で味覚も嗅覚も失い、職も恋人もゼロに。頼る先もなく辿り着いたのは、海辺に残された祖母の潰れかけ甘味処だった。

片付けて売るはずが、店にはお節介な茶筅の付喪神が住み着き、夜になると客として現れるのは迷える妖怪や幽霊たち。味の確認すらできない澪だが、祖母の丁寧な和菓子レシピと修業で培った技術だけを頼りに、悩み多きあやかし達へ“効く”一皿を作り続ける。

壊れた約束を縫い直すどら焼き、未練を鎮める寒椿の練り切り――不思議な菓子が心を満たすたび、店の評判はSNSで拡散。人間の常連や港町の漁師まで巻き込み、潰れかけ甘味処は行列必至の妖怪カフェへと進化していく。

味覚ゼロでも止まらない、和×異界×再生スローライフ奮闘記。
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