冬とシュトレン
仕事を辞めて数ヶ月が経つ。いつもだったら、職場で迎えていたはずのクリスマスイブ。
今年は初めて家で過ごす。付き合っていた彼も居ない。久しぶりの一人っきりのクリスマ
スイブの日。
昔好きだったシュトレンを買ってきた。早速、カットして食べてみると懐かしい味がして
心があったまる。
だが、一人で食べるにしては大きすぎた、このシュトレンを食べきるのは誰かとシェアす
る必要がある、と思ったが親友関係が少ない俺には埒が明かない事に気づく。
「あー俺にも親友がたくさん居たら良かったのかな?」と言ってもSNSで#シュトレン一
緒に食べませんか?なんて呟いてもバカにされてもおしまいだろう。
「馬鹿馬鹿しい」気分転換に外に出ると、あっ、そう言えば最近近くにできたカフェでお
店の店主と親しくなったのを思い出した。でも、シュトレンとか好きなんだろうか?
まあ良いか、寒空の中目的地を目指すことにした。
歩くこと数分、カフェcatについた。カランコロン ドアを開けると彼はいつも通り
カウンターの中で本を読んでいた。「あっいらっしゃい、この間も来てくれた子じゃない
か!嬉しいなもう、僕の虜になったんだね!」クルクルくせ毛と中性的なメガネ店主、
ベンジャミンだ。日本に興味があり、少しなら話せるらしい。今のところほぼドイツ語
で話しているが。 「いや、今日はただ、これを...。」後ろに隠していたシュトレンを見せる。すると、
「これはシュトレンじゃないか!僕 好きなんだよね。あっ、コーヒー入れるけど、ミルク入れ る?」
全く、この人といるとペースが乱れる。でも、不思議と悪い気分でもない。 「じゃあ、ミルク入りでお願いします。」「わかった、たっぷりめに入れとくね、」 コーヒーのいい香りが漂って来る。初めてここに来た時もこの香りに引き寄せられて来たんだっ たか、そんな思いをふけていると「はい、コーヒー、できたよ。ここに置いとくね。」 カップを置き側に座った。「今日は、クリスマスイブだけど君がシュトレンを持って来てくれた から、お店は閉めとこう。」 「えっ、いいんですか?そんな閉めなくてもっ」いきなり、細くて長い人差し指が唇の前に出て 来た。これ以上喋るなと言うような目で。 「それに、君と少しばかりお話もしてみたいしね、」と言うといつもどおり無邪気に微笑む。 窓の外はまだ雪が降り続いている。降り止む様子もない、俺はこのままベンジャミンと過ごす 事にした。
続く
今年は初めて家で過ごす。付き合っていた彼も居ない。久しぶりの一人っきりのクリスマ
スイブの日。
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だが、一人で食べるにしては大きすぎた、このシュトレンを食べきるのは誰かとシェアす
る必要がある、と思ったが親友関係が少ない俺には埒が明かない事に気づく。
「あー俺にも親友がたくさん居たら良かったのかな?」と言ってもSNSで#シュトレン一
緒に食べませんか?なんて呟いてもバカにされてもおしまいだろう。
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店の店主と親しくなったのを思い出した。でも、シュトレンとか好きなんだろうか?
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か!嬉しいなもう、僕の虜になったんだね!」クルクルくせ毛と中性的なメガネ店主、
ベンジャミンだ。日本に興味があり、少しなら話せるらしい。今のところほぼドイツ語
で話しているが。 「いや、今日はただ、これを...。」後ろに隠していたシュトレンを見せる。すると、
「これはシュトレンじゃないか!僕 好きなんだよね。あっ、コーヒー入れるけど、ミルク入れ る?」
全く、この人といるとペースが乱れる。でも、不思議と悪い気分でもない。 「じゃあ、ミルク入りでお願いします。」「わかった、たっぷりめに入れとくね、」 コーヒーのいい香りが漂って来る。初めてここに来た時もこの香りに引き寄せられて来たんだっ たか、そんな思いをふけていると「はい、コーヒー、できたよ。ここに置いとくね。」 カップを置き側に座った。「今日は、クリスマスイブだけど君がシュトレンを持って来てくれた から、お店は閉めとこう。」 「えっ、いいんですか?そんな閉めなくてもっ」いきなり、細くて長い人差し指が唇の前に出て 来た。これ以上喋るなと言うような目で。 「それに、君と少しばかりお話もしてみたいしね、」と言うといつもどおり無邪気に微笑む。 窓の外はまだ雪が降り続いている。降り止む様子もない、俺はこのままベンジャミンと過ごす 事にした。
続く
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