幻想:新宿ゴールデン街・遭遇101物語

 ──雨が、降っていた。
 十月の夜気はすでに肌寒く、傘を持たない男の肩に、細い水の線がいくつも縦に落ちていた。
 その夜の新宿ゴールデン街は、濡れた路地の照明が水面のように揺らぎ、どの店の扉も、わずかに明滅していた。

 彼――佐伯は、いつもより一本奥の通りに迷い込んでいた。
 会社の同僚との飲み会を断り、ふと足が向いたのだ。
 “音のする店”という直感に導かれるように。
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