ぼくの夏休み自由研究は、遠野で河童を釣ることです 〜妖怪好きの小学五年生、人間に化けた妖怪たちと三週間暮らす〜
「ぼくの夏休みの自由研究は、遠野で本物の河童を釣ることです!」
妖怪が大好きな小学五年生・水城湊は、クラスメイトに笑われながらも、堂々とそう宣言した。
河童の写真を撮って、妖怪が本当にいると証明したい。
そのために湊は夏休みの三週間、家族と離れ、岩手県遠野市にある古い民宿「かざぐるま荘」で暮らすことになった。
毎朝、釣り竿ときゅうりを持って川へ通う湊。しかし河童は釣れず、引っかかるのは古びた草履や空き缶ばかり。
そんな湊の前に、地元の少年・川守九郎が現れる。
「河童を釣りたいなら、そんな間抜けな餌はやめろ」
川に詳しく、泳ぎが得意で、なぜか河童の話をされると機嫌が悪くなる九郎。
しかも湊が川へ落ちたとき、九郎の頭には丸い皿のようなものが見えて――。
民宿で靴下を隠す正体不明の少女。
雨の日だけ山道に現れる団子屋。
夜の橋で、通行人の名前を尋ねる老人。
遠野で出会う人々の中には、人間の姿に化けた妖怪たちが紛れ込んでいた。
ところがある日、妖怪たちが自分の名前や大切な思い出を、少しずつ忘れ始める。
名前を失った妖怪は姿を保てなくなり、やがて誰の記憶からも消えてしまうという。
妖怪を捕まえて、存在を証明したかった湊。
けれど、妖怪にも秘密があり、家族がいて、知られたくない事情があることを知ってしまう。
河童を捕まえて東京へ帰るのか。
それとも、三週間だけの友だちを守るのか。
妖怪に憧れていた都会の少年と、人間に化けて暮らす妖怪たちが過ごす、笑って、怖がって、喧嘩して、少しだけ泣ける、ひと夏の自由研究物語。
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