大地震と津波で街は崩壊した。無傷の防災ビルに逃げ込んだら、人間性のテストが始まった。
203X年、南海トラフ地震。
大津波が引いた大阪のオフィス街は、泥と瓦礫に埋まっていた。
電気も水も止まった夜、一棟だけ、窓の明かりを欠かさず灯すビルがある。
開業目前の防災ビル、パーフェクトガーデン。
夜明けを待って泥の中を歩き、たどり着いた避難民は三百人。
水も食料も満載で、外壁にはひびひとつない。
やっと助かった。誰もがそう思った。
背後で入口の壁が閉まると、美しい支配人が告げる。
「これより、適性確認を始めます」
何を確かめるのかは、誰も教えてくれない。
分かっているのは一つだけ。そのあとの食事は、上位から好きなだけ取っていい。
真面目にやれば、助かると思っていた。
なのに、なぜあの人が上で、自分は下なのか。
採点者は、ビルに居残っていた、どこか壊れている人たち。
ビルを握るのは、AIの作り親で、人間恐怖症の久世。
管理AIキーロンだけは、そんな彼を見守っている。
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