灯る透明の染色方法
時波の世界にまだ聖人が存在していた時代。世界がやわらかで、理はよく揺らぎ、不安定だった時代。
穏やかな魔女と苛烈な聖人は出会い、そして突然に婚姻を結ぶ。
――ちょうどよかったんだ。俺はどこかの国に肩入れする気はまったくないからな。
――あなたの事情に巻き込まないでください。わたしは静謐の魔女。騒がしいのは好みません。戦なんて、もってのほかです。
静謐と戦火。正反対ともいえる性質を持つふたり。
しかし魔女と聖人が一度結んだ繋ぎは解くことができない。好まない戦の要素を削ろうにも、婚姻によって紐づいてしまった自身の要素を崩すわけにもいかない。
静謐と戦火の繋ぎは成されたのだ。
しかたなく伴侶としての役目を果たすことにした静謐の魔女は、肌に合わぬ要素を最小限に抑えるため、友である明星黒竜たちに協力を仰ぎ魔法具を作ることにした――。
迷子が趣味な魔女と、国落としに精を出す聖人。
世話焼きお父さんな冬の竜と、貢物でレストランを営む秋の竜。
これは、最後の聖人を育んだ人ならざる者たちが紡ぐ、対話と幸福についての物語である。
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