3 / 19
第一章 孤児院編
3 窓辺の木の実が鳥に食べられた
しおりを挟む
森から町に入るには、大きな門を通る必要がある。
孤児院の位置がどうなっているかというと、外側から森、町、神殿及び孤児院そして、貴族街となっている。
そういえばこの町は、城下町らしい。らしいというのは、情報がほとんど入ってこない孤児院の中で、まことしやかに語られていることだからだ。神殿は、貴族街と平民街をつなぐ門の役割も担っており、その神殿に併設される形で孤児院は存在している。もちろん、貴族街なんてみたことがない。
「おい、パイル。重いなら、片方持ってやろうか?」
「ありがとう、コニー。このままトレーニングを続けるのも悪くないけど、流石につかれちゃったからお願いするよ。」
「おう。早く帰らないと、うんこがもれちゃうからな。」
「だから、うんこじゃないわよ!」
まったく、どこの世界でも男子は男子だね。
口をひらけば、うんこうんこって。うんこの何がそんなに、男子を駆り立てるのだろうか?
そうして、ようやく孤児院にたどり着いた。
少しは腕の筋肉がついたかな?
「みんな、お帰りなさい。まあ、コニー。パイルのことを手伝ってくれたのね。とても偉いわ。」
院長先生がお母さんのような包容力のある笑顔で出迎えてくれた。
って、危ない危ない。和やかな雰囲気に流されるところだった。
「まあ、院長先生。私がコニーを手伝った可能性だってあるんですよ! 」
「まあ、といいたいのは私の方よ。心優しいクルルが、子どもたちに籠を持たせるなんて普通ならしないわ。あるとすれば、パイル、あなたがおかしな行動をしたときね。」
「おかしな行動? まったく心当たりがないですね。」
私がそういうと、院長先生とクルルお兄ちゃんはかわいそうな子を見る目で、私のことを見つめた。
すると、コニーが勢いよく手を挙げて、何かを言いだそうとしていた。いい予感はしない。
「院長先生!」
「なにかしら、コニー?」
「パイルは、ずっと前からうんこを我慢しています! 早くトイレに行かせてやってください。」
「まあ、そうだったの? 台所に籠を置いて、はやくいってきなさい。」
院長先生がそういうと、コニーは「俺に感謝しろよ」とでも言いたげなムカつく顔で、グッドサインをした。
私はすかさず否定しようとしたが、逆にこの状況はいいかもしれないと考えた。なぜなら、さっさとこの場を切り上げて、自由時間に入ることができるからだ。
うん、そうしよう。歌の練習をする方が重要だね。
「はーい。」
私はコニーから籠を受け取って、内また歩きで台所へと向かった。
そう、今の私はアレを我慢しているのだ。我慢している演技が大切だ。
台所に着くと、神殿から料理が下げ渡された後の様で、テーブルには食事が並んでいた。
さっさと籠を置いて、歌の練習をしよう……っと、いい置き場があった。
私は、開けられた窓の近くに移動して、窓枠に籠をおいた。ここの窓は2重窓になっているから、割かし奥行きがあるのだ。
よし、これで完了ね。今日もいつも通り、屋上で練習しましょう。
私は、仕事を終えた達成感と共に、歌の練習へと向かった。
歌の練習をしようにも、夕食まであまり時間がない。
軽く2曲くらい歌って、今日は終わりにしよう。
私は前世の日々を思い出しながら、歌を歌った。
お父さん、お母さんには本当に申し訳ないな。私のバンド活動を全力で応援してくれた優しい両親だった。歌のレッスンにも通わせてくれたし、ライブにも毎回来てくれた。それなのに……。
それから、バンドメンバーのみんなもどうしているかな。あの日、私の不注意で事故になんてあってしまって、迷惑をかけちゃったよね。本当にごめんなさい。
まだまだ歌っていたかった。みんなでもっと上にいきたかった。もっと、みんなで作った曲を多くの人に届けたかった。
涙がこぼれそうになったけど、目に力を込めてなんとか涙を押さえつけた。
皆にもらった歌を、この世界の人たちに届けたい。
絶対にあきらめない。チャンスが来ればしっかりとつかみとれるよう、練習を頑張っていこう。
ーー
その夜。
私は、正座をさせられていた。
「パイル、木の実は窓辺におかないようにと普段から言っているわよね?」
「………すっかり頭から抜けておりました。申し訳ございませんでした。」
適当に窓辺に置いてしまった木の実は、外から現れた大量の鳥たちによって食べられてしまったのだ。
確かに、日ごろから言われていたけど、あの時は歌の練習で頭がいっぱいで、すっかり忘れていたのだ。言い訳のしようがない。
「明日から1週間、採集担当と調理担当を命じます。自由時間はないものと思っておきなさい。」
「そ、そんな! 1週間も歌の練習時間がつぶれてしまうなんて、耐えられないです!」
「うふふふふ。2週間でもいいのよ?」
「……喜んでお勤めに励ませていただます!」
孤児院の位置がどうなっているかというと、外側から森、町、神殿及び孤児院そして、貴族街となっている。
そういえばこの町は、城下町らしい。らしいというのは、情報がほとんど入ってこない孤児院の中で、まことしやかに語られていることだからだ。神殿は、貴族街と平民街をつなぐ門の役割も担っており、その神殿に併設される形で孤児院は存在している。もちろん、貴族街なんてみたことがない。
「おい、パイル。重いなら、片方持ってやろうか?」
「ありがとう、コニー。このままトレーニングを続けるのも悪くないけど、流石につかれちゃったからお願いするよ。」
「おう。早く帰らないと、うんこがもれちゃうからな。」
「だから、うんこじゃないわよ!」
まったく、どこの世界でも男子は男子だね。
口をひらけば、うんこうんこって。うんこの何がそんなに、男子を駆り立てるのだろうか?
そうして、ようやく孤児院にたどり着いた。
少しは腕の筋肉がついたかな?
「みんな、お帰りなさい。まあ、コニー。パイルのことを手伝ってくれたのね。とても偉いわ。」
院長先生がお母さんのような包容力のある笑顔で出迎えてくれた。
って、危ない危ない。和やかな雰囲気に流されるところだった。
「まあ、院長先生。私がコニーを手伝った可能性だってあるんですよ! 」
「まあ、といいたいのは私の方よ。心優しいクルルが、子どもたちに籠を持たせるなんて普通ならしないわ。あるとすれば、パイル、あなたがおかしな行動をしたときね。」
「おかしな行動? まったく心当たりがないですね。」
私がそういうと、院長先生とクルルお兄ちゃんはかわいそうな子を見る目で、私のことを見つめた。
すると、コニーが勢いよく手を挙げて、何かを言いだそうとしていた。いい予感はしない。
「院長先生!」
「なにかしら、コニー?」
「パイルは、ずっと前からうんこを我慢しています! 早くトイレに行かせてやってください。」
「まあ、そうだったの? 台所に籠を置いて、はやくいってきなさい。」
院長先生がそういうと、コニーは「俺に感謝しろよ」とでも言いたげなムカつく顔で、グッドサインをした。
私はすかさず否定しようとしたが、逆にこの状況はいいかもしれないと考えた。なぜなら、さっさとこの場を切り上げて、自由時間に入ることができるからだ。
うん、そうしよう。歌の練習をする方が重要だね。
「はーい。」
私はコニーから籠を受け取って、内また歩きで台所へと向かった。
そう、今の私はアレを我慢しているのだ。我慢している演技が大切だ。
台所に着くと、神殿から料理が下げ渡された後の様で、テーブルには食事が並んでいた。
さっさと籠を置いて、歌の練習をしよう……っと、いい置き場があった。
私は、開けられた窓の近くに移動して、窓枠に籠をおいた。ここの窓は2重窓になっているから、割かし奥行きがあるのだ。
よし、これで完了ね。今日もいつも通り、屋上で練習しましょう。
私は、仕事を終えた達成感と共に、歌の練習へと向かった。
歌の練習をしようにも、夕食まであまり時間がない。
軽く2曲くらい歌って、今日は終わりにしよう。
私は前世の日々を思い出しながら、歌を歌った。
お父さん、お母さんには本当に申し訳ないな。私のバンド活動を全力で応援してくれた優しい両親だった。歌のレッスンにも通わせてくれたし、ライブにも毎回来てくれた。それなのに……。
それから、バンドメンバーのみんなもどうしているかな。あの日、私の不注意で事故になんてあってしまって、迷惑をかけちゃったよね。本当にごめんなさい。
まだまだ歌っていたかった。みんなでもっと上にいきたかった。もっと、みんなで作った曲を多くの人に届けたかった。
涙がこぼれそうになったけど、目に力を込めてなんとか涙を押さえつけた。
皆にもらった歌を、この世界の人たちに届けたい。
絶対にあきらめない。チャンスが来ればしっかりとつかみとれるよう、練習を頑張っていこう。
ーー
その夜。
私は、正座をさせられていた。
「パイル、木の実は窓辺におかないようにと普段から言っているわよね?」
「………すっかり頭から抜けておりました。申し訳ございませんでした。」
適当に窓辺に置いてしまった木の実は、外から現れた大量の鳥たちによって食べられてしまったのだ。
確かに、日ごろから言われていたけど、あの時は歌の練習で頭がいっぱいで、すっかり忘れていたのだ。言い訳のしようがない。
「明日から1週間、採集担当と調理担当を命じます。自由時間はないものと思っておきなさい。」
「そ、そんな! 1週間も歌の練習時間がつぶれてしまうなんて、耐えられないです!」
「うふふふふ。2週間でもいいのよ?」
「……喜んでお勤めに励ませていただます!」
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる