壊れたままのあなたも、ここにいていい――悪役令嬢の魔導具修理店
かつて侯爵令嬢だったリーゼには、隠していた「はしたない」特技があった。魔導具を直せること。亡き母に、こっそり教わった手仕事だ。
建国祭の夜、王家の宝である魔導シャンデリアが壊れた。壊れかけていたそれに手を触れていたリーゼは、犯人にされた。弁明すれば、令嬢が魔導具をいじれることも、母との秘密も、ぜんぶ暴かれてしまう。だからリーゼは黙って、婚約破棄と勘当を受け入れた。
流れ着いたのは下町の路地裏。皮肉にも、その「はしたない特技」だけが、彼女を食べさせてくれた。錆びた鈴を軒先に吊るして、リーゼは小さな修理屋を開く。
持ち込まれるのは、ただの壊れた魔導具じゃない。亡き夫がくれた魔導カイロ、子どもの声で目を覚ます玩具、焦げついたパン屋のオーブン——どれも、持ち主の思い出がしみついている。リーゼはそれを、思い出ごと預かって、直していく。
無口な隣の金物屋ヴィム、住み着いた孤児のピコ、口の悪い大家のダリア婆さん。壊れたものを抱えた人たちに囲まれて、リーゼの路地裏は少しずつ温かくなっていく。
——それでも、たったひとつだけ、リーゼには直せない魔導具があった。母の形見の、鳴らないオルゴール。母が死んだあの日から、ずっと沈黙している小さな箱。
「私だけは、誰にも直してもらえない」。そう思っていたリーゼが、直すのを諦めたその日に、箱は静かに目を覚ます。
※本作は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています。
建国祭の夜、王家の宝である魔導シャンデリアが壊れた。壊れかけていたそれに手を触れていたリーゼは、犯人にされた。弁明すれば、令嬢が魔導具をいじれることも、母との秘密も、ぜんぶ暴かれてしまう。だからリーゼは黙って、婚約破棄と勘当を受け入れた。
流れ着いたのは下町の路地裏。皮肉にも、その「はしたない特技」だけが、彼女を食べさせてくれた。錆びた鈴を軒先に吊るして、リーゼは小さな修理屋を開く。
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※本作は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています。
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