未受理札の長屋
江戸の下町で代書屋を営むおりんは、長屋の軒下に置かれた小さな箱を見つける。箱には、墨のかすれた字で「未受理札」と書かれていた。
中に入っていたのは、夫と別れたいのに離縁状に何を書けばよいかわからない女・おせんの札。夫を憎んでいるわけではない。けれど、このまま同じ家で暮らしていれば、自分の声を失ってしまう。おりんはただ書面を整えるのではなく、おせん自身が本当に伝えたい言葉を探していく。
やがて未受理札の箱には、死んだ息子に謝れなかった母、名乗れないまま娘を守りたい父、濡れ衣を着せられた奉公娘に関わる願いが集まり始める。棒手振りの佐吉や町名主の手代・源右衛門の助けを借りながら、おりんは町の小さな揉め事と、人々の胸に残った後悔を一つずつほどいていく。
しかし、箱には何も書かれていない白紙の札が繰り返し入れられる。その紙の折り方は、亡き夫・清七が生前よく使っていたものと同じだった。人の言葉を代筆してきたおりん自身にも、夫へ渡せなかった一通の手紙がある。
言えなかった言葉、届けられなかった願い、受け取られなかった思い。
江戸の長屋を舞台に、代書屋の女が人々の「未受理」を受け取り直す、人情時代小説。
中に入っていたのは、夫と別れたいのに離縁状に何を書けばよいかわからない女・おせんの札。夫を憎んでいるわけではない。けれど、このまま同じ家で暮らしていれば、自分の声を失ってしまう。おりんはただ書面を整えるのではなく、おせん自身が本当に伝えたい言葉を探していく。
やがて未受理札の箱には、死んだ息子に謝れなかった母、名乗れないまま娘を守りたい父、濡れ衣を着せられた奉公娘に関わる願いが集まり始める。棒手振りの佐吉や町名主の手代・源右衛門の助けを借りながら、おりんは町の小さな揉め事と、人々の胸に残った後悔を一つずつほどいていく。
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