お江戸浅草占い草子
「占」の一字を掲げるだけの男は、なぜ人の嘘も過去も言い当てるのか。
江戸・浅草寺の参道裏。路地の片隅で、小さな「占」の看板を掲げる一人の占い師がいた。
失せ物、浮気の疑い、名付けの相談――
持ち込まれる悩みに、彼は筮竹を鳴らしながら、こう告げる。
「ちょいと、観てみますか」。
だが彼が本当に見ているのは、卦ではなく、依頼人自身が語らなかった小さな綻びだ。着物の縫い目、金の使いみち、ふとした言葉の端々――占いという体裁を借りて、彼は人の噓と真実を静かに暴いていく。
そして時折、彼の元にも過去の影が届く。「此怨未忘」――差出人のない一通の封書。無名の占い師は、いったい何者なのか。
江戸の人情と粋が息づく浅草を舞台に描く、全十話の連作時代小説。隙間時間で読める一話完結形式です。
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