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08.賢竜帝様は壊れた番とお風呂に入る(竜帝様視点)
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※エロというわけではないですがお風呂シーンが入ります。
「ヴェリテ」
帝国に連れ帰ってきた愛おしい番は、その言葉以外を放つこともなくただされるがままになっていた。
「ルーエリン」
優しく名を呼び、その髪を撫でる。元々はきっと絹糸のように美しかったそれは今は汚れて油ぎって黄ばんでいるような色をしていた。
肌も、瑞々しく美しかっただろうに、パサついてしまっている。
そして、何より抱きしめて分かったが肋骨が完全に浮き出てしまうほどに痩せてしまっていた。
(可哀そうに、いくら罪を犯したとしてもここまで酷い目に遭う必要はあったのだろうか……それに罪を犯して監禁されただけで何故ここまで精神が荒廃している……)
王の間に居た彼の父である王もそうだったが、明らかに何かがあの国はおかしい。黒い靄については体に入れて持ち帰ってきたので後ほど分析するとして、
確かに報告書を見る限りでは、俺のルーエリンは婚約者を裏切り、浮気をしたあげく罪をでっち上げた最悪なクズなのだが、直感でその内容にずっと違和感を感じている。
これは番だからではなく、何かとても嫌な予感がした。
「大丈夫だ、ここには君を傷つける者はいない。可哀そうにこんなに汚れて、綺麗にしなければいけない」
「竜帝様、番様の体を洗うなら使用人を呼びましょうか??」
がっしりと腕にしがみついた猫っぽい男を高速で撫でながら、鼻をつまんでいる癖に顔だけ真顔でガトーが聞いてきた。
「……何故鼻をつまんでいる、まさかお前も……」
「はい、番を見つけました。そして何故か番と触れ合っていると匂いを感じるのですが……その番様は……」
「ああ、完全に放置されて面倒が見られていなかったようで、とても臭いだろう。だが、朕はどんなにおいがしてもこの子を離すつもりはない。それに、これから朕が可愛い番をキレイキレイして、同じ石鹸で体を洗って同じ香りに包まれて幸せを噛みしめるつもりだ」
「童帝、もといもうすぐ卒業される童帝様。本日愛おしい番に私も出会えましたのでもし番様と竜帝様がおふたりになりたいようでしたら、私も本日は帰りたいのですが……」
選択肢を与えるように話しかけつつも完全に自分に有利に進める気満載の、ガトーの意図が見えたので冷たく睨む。
「にゃっ!!」
「竜帝様、私の番が可愛いからといって当たらないでください」
「いや、お前を朕は睨んだんだが……。そうだな。朕も番と過ごして調べたいことがある、だからお前も今日は帰って問題ない」
「なるほど、調べたい(意味深)ですね。分かりました、では一旦失礼いたします」
涼しい顔で立ち去る側近の後ろ姿を見ながら、俺はルーエリンを抱きかかえて浴室へ向かった。
ポラリス帝国は湯量が豊富な温泉が湧いていて、王城の風呂もとても広い。ルーエリンの服を脱がせて愕然とする。
「なんだ、この跡は」
体のいたるところにうっ血した針で刺したような跡があった。そしてその跡には覚えがあった。
「薬……そうか、そういうことか」
注射器で刺された跡、つまり何らかの薬品をルーエリンは打たれていたらしい。あまりの悲惨さに涙が頬を伝い、その痛々しい跡に俺は口づけをした。
唇が触れると、その跡が消える。
(ああ、番への想いで新しい力が目覚めたのか……)
俺には、治癒の力はなかったはずだが、番を癒したいと願ったためかその力が芽生えていた。痛々しい跡のひとつひとつにキスをして、見える範囲の傷を治癒してから、ルーエリンの体をもう一度抱きしめる。
(酷く冷たいな。今はゆっくりあたためてあげよう……)
髪を丁寧に洗ってから、汚れてしまった肌を、優しく布などは使わず、全て素手で少しずつ洗う。
薄汚れていた肌は石鹸で丁寧に丁寧に洗うことで元の美しい白をさらけ出した。
そして、まだちゃんと触れていなかった下腹部も優しく丁寧に洗う。悪戯したい気持ちもあるが、そもそもその辺りを触られてもルーエリンは「ヴェリテ」と呟くだけで反応することがない。
洗い終わると、その体はあまりに華奢で無垢な少女のようにも見えて、下半身が反応してしまう。
(もっと触れたい、奧にも……)
「ヴェリテ」
帝国に連れ帰ってきた愛おしい番は、その言葉以外を放つこともなくただされるがままになっていた。
「ルーエリン」
優しく名を呼び、その髪を撫でる。元々はきっと絹糸のように美しかったそれは今は汚れて油ぎって黄ばんでいるような色をしていた。
肌も、瑞々しく美しかっただろうに、パサついてしまっている。
そして、何より抱きしめて分かったが肋骨が完全に浮き出てしまうほどに痩せてしまっていた。
(可哀そうに、いくら罪を犯したとしてもここまで酷い目に遭う必要はあったのだろうか……それに罪を犯して監禁されただけで何故ここまで精神が荒廃している……)
王の間に居た彼の父である王もそうだったが、明らかに何かがあの国はおかしい。黒い靄については体に入れて持ち帰ってきたので後ほど分析するとして、
確かに報告書を見る限りでは、俺のルーエリンは婚約者を裏切り、浮気をしたあげく罪をでっち上げた最悪なクズなのだが、直感でその内容にずっと違和感を感じている。
これは番だからではなく、何かとても嫌な予感がした。
「大丈夫だ、ここには君を傷つける者はいない。可哀そうにこんなに汚れて、綺麗にしなければいけない」
「竜帝様、番様の体を洗うなら使用人を呼びましょうか??」
がっしりと腕にしがみついた猫っぽい男を高速で撫でながら、鼻をつまんでいる癖に顔だけ真顔でガトーが聞いてきた。
「……何故鼻をつまんでいる、まさかお前も……」
「はい、番を見つけました。そして何故か番と触れ合っていると匂いを感じるのですが……その番様は……」
「ああ、完全に放置されて面倒が見られていなかったようで、とても臭いだろう。だが、朕はどんなにおいがしてもこの子を離すつもりはない。それに、これから朕が可愛い番をキレイキレイして、同じ石鹸で体を洗って同じ香りに包まれて幸せを噛みしめるつもりだ」
「童帝、もといもうすぐ卒業される童帝様。本日愛おしい番に私も出会えましたのでもし番様と竜帝様がおふたりになりたいようでしたら、私も本日は帰りたいのですが……」
選択肢を与えるように話しかけつつも完全に自分に有利に進める気満載の、ガトーの意図が見えたので冷たく睨む。
「にゃっ!!」
「竜帝様、私の番が可愛いからといって当たらないでください」
「いや、お前を朕は睨んだんだが……。そうだな。朕も番と過ごして調べたいことがある、だからお前も今日は帰って問題ない」
「なるほど、調べたい(意味深)ですね。分かりました、では一旦失礼いたします」
涼しい顔で立ち去る側近の後ろ姿を見ながら、俺はルーエリンを抱きかかえて浴室へ向かった。
ポラリス帝国は湯量が豊富な温泉が湧いていて、王城の風呂もとても広い。ルーエリンの服を脱がせて愕然とする。
「なんだ、この跡は」
体のいたるところにうっ血した針で刺したような跡があった。そしてその跡には覚えがあった。
「薬……そうか、そういうことか」
注射器で刺された跡、つまり何らかの薬品をルーエリンは打たれていたらしい。あまりの悲惨さに涙が頬を伝い、その痛々しい跡に俺は口づけをした。
唇が触れると、その跡が消える。
(ああ、番への想いで新しい力が目覚めたのか……)
俺には、治癒の力はなかったはずだが、番を癒したいと願ったためかその力が芽生えていた。痛々しい跡のひとつひとつにキスをして、見える範囲の傷を治癒してから、ルーエリンの体をもう一度抱きしめる。
(酷く冷たいな。今はゆっくりあたためてあげよう……)
髪を丁寧に洗ってから、汚れてしまった肌を、優しく布などは使わず、全て素手で少しずつ洗う。
薄汚れていた肌は石鹸で丁寧に丁寧に洗うことで元の美しい白をさらけ出した。
そして、まだちゃんと触れていなかった下腹部も優しく丁寧に洗う。悪戯したい気持ちもあるが、そもそもその辺りを触られてもルーエリンは「ヴェリテ」と呟くだけで反応することがない。
洗い終わると、その体はあまりに華奢で無垢な少女のようにも見えて、下半身が反応してしまう。
(もっと触れたい、奧にも……)
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