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62.ヨグ様印の番のナカナオール(竜帝様視点)
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「無理じゃないですかね」
そうあからさまに鼻くそをほじくりながらガトーが言ったので、思わず不敬罪でボコボコにしてやろうかとも思ったが、ガトーをボコボコにしてもルーエリンの心を取り戻すことはできないので、グッと我慢した。
「……ガトーは、ミケとの関係はあれからどうだ??」
「えっ、それはもうラブラブです。大変幸せに暮らしています」
鼻くそほじってた男とは、思えないくらい早変わりして笑顔になったガトーは、饒舌にミケとの惚気話をし始めた。
その幸せそうな姿に、とてもイライラしてきた。
よく考えたら俺は今回の事件で沢山の罪人を裁きつつも実際は番と幸せになれるようにしたのに、自分だけどうして浮かばれないのか……。思わず聖母ルキア様に泣きつきたいような気持ちになる。
そんなことを考えていたら無性にもやもやしてきた。
ただでさぇ主人公であるのにそれをガトーに喰われている疑惑があるというのに、幸せにもなれないとか作者に嫌われているとしか思えない。
あまりにも辛すぎて意味の分からないことを考えていた時、激しい爆発音と共に艶々した様子のヴィクトールがやってきた。
そう言えば、今日は仕事のことで呼び出していたなとその姿を見て思い出した。
「兄上、お久しぶりです!!いやー、幸せ過ぎて今まで悩んでたことが嘘みたいだ」
色んな憑き物が取れた様子のヴィクトールの姿に本来なら、兄として喜ばしく思うべきだが今の俺にはそれができないくらい心が死んでいる。色々と辛い。
「あ、辺境伯様。今は幸せアピールは駄目です。童帝もとい竜帝様は番様に拒否られて別居されて荒んで、哀れなマタタビ竜人に不敬罪の冤罪を着せてボコボコにしようとか考えてるくらい機嫌が悪いですからね」
さっきの考えが読まれていたことと、こちらこそまだしてもいない冤罪を着せられてとても腹立たしい。
「ガトー。不敬罪については思いとどまっていたが気が変った。あんまり意味がないけどボコボコにする」
とりあえずガトーをやっぱりボコボコにしようと考えたが、珍しくヴィクトールがそれを制した。
「兄上、落ち着け。確かに今のマタタビ竜人はムカつくが、ここで殴ってもなにも変わらないだろう。それよりも番の心を手に入れたいなら良いものがある。俺もそれのおかげでシユ兄上とそれはもう毎晩毎晩幸せな番ライフが送れているからな」
まるで、怪しい雑誌の裏面の広告みたいなことを言っている弟が心配ではあるが、そんな広告にでも縋りたいくらい俺はルーエリンとの関係改善を望んでいる。
ルーエリンを愛する気持ちが溢れているのに、その湛えきれない気持ちが溢れだしまくっていて辛いのだ。
「良い方法とはなんだ??番を長い童貞生活に耐え切れずに睡眠姦したような関係でも改善できるか??」
「俺は睡眠姦はむしろ小兄上にされていたらしい方なんだけど、まぁそこは愛があれば許せるということは言えるから、まずは番に愛されるようになろう。そのためにもこの『ヨグ様印の番のナカナオール』をあげるから試してみろよ」
ヴィクトールがジャジャーン!!と見せたのは、何というか、完全に悪ふざけとしか思えないそれは無駄に可愛くデフォルメされた俺にそっくりな顔がパッケージに書かれた、塗り薬、メン〇ームっぽいなんかだった。
「……なんだこれは??」
「えっ、媚薬」
元も子もない言葉に俺は思わず頭を押さえた。正直媚薬では心を掴めない。むしろ媚薬は愛を育んでから使うものではないかと思うのだが……。
「ただの媚薬じゃねぇんだ。これは元々全く愛情がなかっただろう聖母ルキア様にヨグ様が使ったとされる潤滑油っぽい媚薬で、これを使えばあまり番としても意識がない相手でも番と認識してくれるようになるらしい」
説明を聞いても、ルーエリンの俺へのトラウマ緩和にはなるとは思えない。しかし、今はマタタビ竜人のマタタビにすら縋りたいほどに切羽詰まっているので、怪しいが試してみる以外に選択はない。
「……試してみる」
「そうですね。駄目で元々ですがためしてみればいいと思いますよ、竜帝様。後、プレゼントはミケが言ってましたが番様は、自身の最愛の人の像やら姿絵やらを集めるのが趣味だったといっていたので、ご自身の像とか姿絵を送ればいいかもしれません」
たまにはガトーも良いことを言う。とりあえず、プレゼントは等身大の俺のブロンズ像を持参しよう。そうと決まれば、ルーエリンの元へとりあえず瞬間移動をすることにした。
そうあからさまに鼻くそをほじくりながらガトーが言ったので、思わず不敬罪でボコボコにしてやろうかとも思ったが、ガトーをボコボコにしてもルーエリンの心を取り戻すことはできないので、グッと我慢した。
「……ガトーは、ミケとの関係はあれからどうだ??」
「えっ、それはもうラブラブです。大変幸せに暮らしています」
鼻くそほじってた男とは、思えないくらい早変わりして笑顔になったガトーは、饒舌にミケとの惚気話をし始めた。
その幸せそうな姿に、とてもイライラしてきた。
よく考えたら俺は今回の事件で沢山の罪人を裁きつつも実際は番と幸せになれるようにしたのに、自分だけどうして浮かばれないのか……。思わず聖母ルキア様に泣きつきたいような気持ちになる。
そんなことを考えていたら無性にもやもやしてきた。
ただでさぇ主人公であるのにそれをガトーに喰われている疑惑があるというのに、幸せにもなれないとか作者に嫌われているとしか思えない。
あまりにも辛すぎて意味の分からないことを考えていた時、激しい爆発音と共に艶々した様子のヴィクトールがやってきた。
そう言えば、今日は仕事のことで呼び出していたなとその姿を見て思い出した。
「兄上、お久しぶりです!!いやー、幸せ過ぎて今まで悩んでたことが嘘みたいだ」
色んな憑き物が取れた様子のヴィクトールの姿に本来なら、兄として喜ばしく思うべきだが今の俺にはそれができないくらい心が死んでいる。色々と辛い。
「あ、辺境伯様。今は幸せアピールは駄目です。童帝もとい竜帝様は番様に拒否られて別居されて荒んで、哀れなマタタビ竜人に不敬罪の冤罪を着せてボコボコにしようとか考えてるくらい機嫌が悪いですからね」
さっきの考えが読まれていたことと、こちらこそまだしてもいない冤罪を着せられてとても腹立たしい。
「ガトー。不敬罪については思いとどまっていたが気が変った。あんまり意味がないけどボコボコにする」
とりあえずガトーをやっぱりボコボコにしようと考えたが、珍しくヴィクトールがそれを制した。
「兄上、落ち着け。確かに今のマタタビ竜人はムカつくが、ここで殴ってもなにも変わらないだろう。それよりも番の心を手に入れたいなら良いものがある。俺もそれのおかげでシユ兄上とそれはもう毎晩毎晩幸せな番ライフが送れているからな」
まるで、怪しい雑誌の裏面の広告みたいなことを言っている弟が心配ではあるが、そんな広告にでも縋りたいくらい俺はルーエリンとの関係改善を望んでいる。
ルーエリンを愛する気持ちが溢れているのに、その湛えきれない気持ちが溢れだしまくっていて辛いのだ。
「良い方法とはなんだ??番を長い童貞生活に耐え切れずに睡眠姦したような関係でも改善できるか??」
「俺は睡眠姦はむしろ小兄上にされていたらしい方なんだけど、まぁそこは愛があれば許せるということは言えるから、まずは番に愛されるようになろう。そのためにもこの『ヨグ様印の番のナカナオール』をあげるから試してみろよ」
ヴィクトールがジャジャーン!!と見せたのは、何というか、完全に悪ふざけとしか思えないそれは無駄に可愛くデフォルメされた俺にそっくりな顔がパッケージに書かれた、塗り薬、メン〇ームっぽいなんかだった。
「……なんだこれは??」
「えっ、媚薬」
元も子もない言葉に俺は思わず頭を押さえた。正直媚薬では心を掴めない。むしろ媚薬は愛を育んでから使うものではないかと思うのだが……。
「ただの媚薬じゃねぇんだ。これは元々全く愛情がなかっただろう聖母ルキア様にヨグ様が使ったとされる潤滑油っぽい媚薬で、これを使えばあまり番としても意識がない相手でも番と認識してくれるようになるらしい」
説明を聞いても、ルーエリンの俺へのトラウマ緩和にはなるとは思えない。しかし、今はマタタビ竜人のマタタビにすら縋りたいほどに切羽詰まっているので、怪しいが試してみる以外に選択はない。
「……試してみる」
「そうですね。駄目で元々ですがためしてみればいいと思いますよ、竜帝様。後、プレゼントはミケが言ってましたが番様は、自身の最愛の人の像やら姿絵やらを集めるのが趣味だったといっていたので、ご自身の像とか姿絵を送ればいいかもしれません」
たまにはガトーも良いことを言う。とりあえず、プレゼントは等身大の俺のブロンズ像を持参しよう。そうと決まれば、ルーエリンの元へとりあえず瞬間移動をすることにした。
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