しいたけと本
本をこの上なく愛している本屋の店員――本國 心陽(もとくに こはる)には最近気になることがある。毎週金曜日、同じ時間に本屋に訪れる常連さんが必ずキノコの本を買っていくことだ。
「魅惑のキノコ図鑑」「キノコと共に生きる」「キノコは人生を豊かにする」「なんて素敵な、キ・ノ・コ」「キノコを愛するということ」「世界一美しいキノコ」――とにかく、キノコ、キノコ、キノコ。
そして、今日も常連さんがやってくる金曜日のはずが、常連さんが訪れることなく閉店の時間を迎えてしまう。
それから、二ヶ月程たったある日、仕事前に何となく入ったカフェで常連さんを見かける。
「あの、いつも、本屋に来てくださってた方ですよね?」
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