時雨の境
雨のよく降る辺境の町で、精霊師・雨人は、助手の少女・淋と暮らしている。
人付き合いを嫌い、何事も理屈で考える雨人。
よく笑い、よく怒り、困っている人を放っておけない淋。
性格はまるで正反対。
それでも二人は、猫に囲まれ、くだらないことで言い争いながら、穏やかな毎日を送っていた。
病に苦しむ大切な人。
行き場を失った少女。
夜の街で起きる事件。
淋が誰かのために手を伸ばすたび、雨人もまた、その願いを叶えるために動いていく。
――ただし、そのやり方は時々、ひどく危うい。
どうして彼は、そこまで淋の願いを叶えようとするのか。
なぜ淋には、幼い頃の記憶がないのか。
そして雨人はなぜ、ときおり彼女を、
まるで遠い過去を重ねるように見つめるのか。
降り続く雨の向こうには、まだ語られていない二人の過去がある。
これは、二人が共に生きる意味を見つけていく物語。
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