令嬢失格 〜悪役令嬢に転生したので速やかに婚約破棄されたいのですが、何故か王太子エンドを迎えそうです~
婚約破棄。
正直に言おう。私は、それで構わなかった。
むしろ、ありがたいとすら思っていた。王太子の婚約者など、責任が重すぎる。前世で就職活動を二十回失敗した人間に、一国の王妃が務まるわけがない。聖女に押し付けてしまいたい。どうぞどうぞ。ダチョウ倶楽部のごとく譲り合いたい。
◆
目が覚めたら、乙女ゲームの悪役令嬢になっていた。
前世はカップ焼きそばを愛する二十七歳独身。今世は公爵令嬢エステルハージ・フォン・クロイツェナッハ。
名前からして強そうだが、中身はまったく変わっていない。ワルツは踊れない。カーテシーで人に突っ込む。マカロンは一口で頬張る。侍女のマリアンヌは一日三回膝から崩れ落ちる。
原作通りに婚約破棄されて、田舎でのんびり隠居生活を送ろうと思っていたのに、不品行を重ねるほどなぜか王太子フリードリヒの好感度が上がっていく。
「あなたは面白い」じゃないんです殿下。
わたくしは嫌われたいんです。
一方、本来の恋のお相手である聖女リーゼロッテは、殿下そっちのけで私に懐いてくる始末。
物語のシナリオは崩壊し、謎のゆるキャラ「ぱんにゃ」は学園で信仰を集め、もう何もかもが予定通りにいかない。令嬢としてはポンコツでも、人間としては――まあ、仮免許くらいはもらえるかもしれない。そんなお話。
正直に言おう。私は、それで構わなかった。
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「あなたは面白い」じゃないんです殿下。
わたくしは嫌われたいんです。
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