偲い(おもい)

 私は突然、父を病で亡くす。
 一人息子である私は、結婚後、両親の住む実家を出て別居生活をしていた。
 私は父の葬儀を通じ、父が私に遺していった期待と想いを心に深く留めながらも、父の恩に報えなかった事に、深く後悔の念を抱く。
 私は、父の遺した意思を裏切るという良心の呵責に苛まれながらも、実家を捨て、遺された年老いた母との同居生活を決める。
 だが、私の想いに反し、同居生活は妻の「二世帯住居だから」という心の厚い壁が存在し、私は「母は、自分たちと同居して、果たして幸せなのか」という、強く苦しい疑問を抱いていく。
 そんな中、ある日、母が病に倒れる。
 私は父に出来なかった ”思い” を胸に、母の看病につくす。
 だが、懸命な闘病生活もかなわず、母も亡くなってしまう。全てを失った私は、喪失感に苛まれ続ける。
 父と母を相次ぎ亡くし、その経験を通じて、人の死と、死にゆく者の想いとは、また、自分に取り両親とは、そして家族とは何かについて深く想い巡らす事で、やがて私は、人としての心の成長を遂げていく。

 年老いた両親への想い。父の死後、母との同居、嫁と姑との軋轢。そして母の死。家族愛 …


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