「更新は、いたしません」〜白い結婚五年目、満了まであと三十日〜
結婚して五年、アメリアが夫オズワルドと交わした会話は、用件だけだった。
「妻は、よくできた調度のようでいてくれればいい」と言われた契約結婚。それでも五年、家政も、社交も、領地の調停も、夫の妹の支度も、アメリアは全部きちんと回してきた。契約とは、果たすものだから。
満了の三十日前の朝、夫は手紙の束から顔も上げずに言った。「更新の書類、いつものように任せていいか」
「更新は、いたしません」
その日から、伯爵家の何かが毎日ひとつずつ止まっていく。夫が五年間、見ようともしなかったものの形に沿って。
隣領の伯爵レナードだけが、満了の「その後」の話をしたがっている。
あと三十日。アメリアは指折り数えて、満了の日を楽しみに待っている。
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「更新は、いたしません」
その日から、伯爵家の何かが毎日ひとつずつ止まっていく。夫が五年間、見ようともしなかったものの形に沿って。
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