さよならの贈り物 サマーセット侯爵家の子供たち
中央大陸最大の大国、ドレイク王国。ドレイク王国の貴族、サマーセット侯爵家は代々癖が強いが才能ある人間が生まれる率が多かった。中でも一世代に1人以上現れる天才は、何度も国の危機を救ってきたという。
今世の天才は、サマーセット侯爵の長女アニスだった。
サマーセット侯爵夫妻には三男三女がおり、癖の強い奇才揃い。次女ヴィヴィアンは騎士顔負けの武術をもつ外見も女性には見えない美丈夫、だがアニス姉様を盲愛するシスコン。次男エドガーは、脳筋だが剣を持たせれば敵なし、だが無類のお喋り。他の兄弟も一見そこそこマトモだが、一般よりもやはり個性的。
ドレイク王国は歴史が古く、そのぶん昔ながらの現代にそぐわない慣習が多かった。国王と王太子は国民や側近からはもちろん、妻にさえ名前を伏せ、敬称で呼ばれる。国王や王太子が世間に名前を知られるのは、資格を失ったとき。大抵は崩御だが、王太子だった場合は廃嫡ということも稀にある。
今世の王太子もまた、慣習に従って王太子や殿下の呼称でしか呼ばれず、物心ついたときから両親とは親子らしいやり取りもなかった。幼少時から優秀で王家特有の美貌の持ち主だが、人への関心が薄いのも育ちのせいだった。
そんな王太子が未来の王太子妃選出のお茶会で見初めたのは、アニス・サマーセット侯爵令嬢だった。しかしこの天才を正当な方法で婚約者にするのは不可能に近い。そこで王太子は、謀略を使ってアニスを婚約者とした。アニス自ら、王太子の張った罠に飛び込んだとも知らずに。
世間も国王夫妻も、王太子こそが次代の国王に相応しいと絶賛していた。しかしアニスは王太子には国王になる資質がないと断じ、自らを犠牲にして王太子をその座から引きずり下ろす。
そして王太子の実弟ルシアン第二王子が、新たな王太子となった。ルシアンの婚約者は、幼い頃から絶世の美女間違いなしと評判だったブランシュ・サマーセット侯爵令嬢。アニスとヴィヴィアンの実妹で、当初は元王太子妃最有力候補の1人だったが、姉達があまりに奇想天外なことをやらかしたので、元王太子の正妃候補から早いうちに外された。
様々なことが起こりすぎて、失意の元王太子の心は壊れてしまった。しかし王太子の座から降ろされて初めて、彼は一番欲しかっものを手に入れる。彼が一番欲しかったもの、それは無償の愛。初恋相手のアニスからは得られなかったが、元王太子が気付かなかっただけで、愛は元王太子の周りに幾つもあった。彼は王太子でなくなったのと引き換えに幸せを得た。
一方、アニスは役目を終えると、二度と母国に戻らない航海へ出る。旅の相棒は、敬愛なる叔父アーヴィンと、男にしか見えない妹のヴィヴィアン。
奇特な天才は、他国でも才能を遺憾無く発揮する。
今世の天才は、サマーセット侯爵の長女アニスだった。
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ドレイク王国は歴史が古く、そのぶん昔ながらの現代にそぐわない慣習が多かった。国王と王太子は国民や側近からはもちろん、妻にさえ名前を伏せ、敬称で呼ばれる。国王や王太子が世間に名前を知られるのは、資格を失ったとき。大抵は崩御だが、王太子だった場合は廃嫡ということも稀にある。
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そんな王太子が未来の王太子妃選出のお茶会で見初めたのは、アニス・サマーセット侯爵令嬢だった。しかしこの天才を正当な方法で婚約者にするのは不可能に近い。そこで王太子は、謀略を使ってアニスを婚約者とした。アニス自ら、王太子の張った罠に飛び込んだとも知らずに。
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そして王太子の実弟ルシアン第二王子が、新たな王太子となった。ルシアンの婚約者は、幼い頃から絶世の美女間違いなしと評判だったブランシュ・サマーセット侯爵令嬢。アニスとヴィヴィアンの実妹で、当初は元王太子妃最有力候補の1人だったが、姉達があまりに奇想天外なことをやらかしたので、元王太子の正妃候補から早いうちに外された。
様々なことが起こりすぎて、失意の元王太子の心は壊れてしまった。しかし王太子の座から降ろされて初めて、彼は一番欲しかっものを手に入れる。彼が一番欲しかったもの、それは無償の愛。初恋相手のアニスからは得られなかったが、元王太子が気付かなかっただけで、愛は元王太子の周りに幾つもあった。彼は王太子でなくなったのと引き換えに幸せを得た。
一方、アニスは役目を終えると、二度と母国に戻らない航海へ出る。旅の相棒は、敬愛なる叔父アーヴィンと、男にしか見えない妹のヴィヴィアン。
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