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11-28 悲しみに暮れる3人
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「アリアドネ、ロイはこの礼拝堂の中にいる」
エルウィンに肩を抱かれ、アリアドネが連れて来られたのはアイゼンシュタット城に作られた礼拝堂だった。
「こ、ここに……ロイがいるのですね……?」
涙に濡れた瞳でアリアドネはエルウィンに尋ねた。
「そうだ、ミカエルとウリエルもロイの傍にいる」
「ミカエル様とウリエル様が‥‥?」
「そうだ‥‥2人とも、幾ら言い聞かせても‥‥ロイの傍から離れようとしないんだ。もう何時間も……」
エルウィンは苦悩の表情を浮かべた。
「そんな…」
アリアドネは扉に駆け寄ると、大きく開け放した。
広い礼拝堂の祭壇の前にはロイが寝かされており、ミカエルとウリエルが項垂れた様子で傍に座っている様子がアリアドネの目に飛び込んできた。
「ミカエル様!ウリエル様っ!」
アリアドネの声が礼拝堂に響き渡る。
するとミカエルとウリエルをはじめとして、その場にいた下働きの者達もアリアドネを振り向いた。
「あ…!リアッ!」
「リア…ッ!」
ミカエルとウリエルがアリアドネの名を叫ぶ。
「ミカエル様ー!ウリエル様ー!」
アリアドネはミカエルとウリエルに駆けよると、幼い2人を掻き抱いた。
「リア…ロイが‥‥ロイが死んじゃったよぉっ!」
「僕‥‥僕、ロイが大好きだったのに…!」
ミカエルとウリエルがアリアドネの胸に顔をうずめ、激しく泣きじゃくった。
「ロイ……」
2人を抱きしめながら、アリアドネは祭壇の前に寝かされたロイをじっと見つめた。
ロイの身体にはマントが掛けられ、胸の部分は出血した血が滲んでいた。
その死に顔は‥‥…とても穏やかで、口元には生前では見られらなった小さな笑みが浮かんでいた。
「ミカエル様、ウリエル様‥‥ロイの顔をご覧下さい」
アリアドネは泣きじゃくる2人に、自身も涙を流しながら語りかけた。
「何‥‥?」
「ロイの顔‥‥?」
泣いていたミカエルとウリエルは顔を上げ‥‥冷たくなったロイを振り返った。
「ロイの顔……あんなに穏やかではありませんか‥‥。きっと……最期は幸せな夢を見ながら……この世を去って逝ったのだと思います‥‥」
「ロイ‥‥」
「う…うん‥‥」
3人は抱き合いながら再び涙を流した。
そして、その様子を見つめていた下働きの者達も早すぎる若者の死を悼み……涙を流すのだった……。
そんな彼らの様子を扉の前でエルウィンとスティーブは見つめていたが……やがてエルウィンが口を開いた。
「スティーブ」
「はい、大将」
「ロイを……アイゼンシュタット城の英雄として、騎士団全員で弔ってやるのだ。その準備を頼む」
「はい、分かりました」
「ところで、ダリウスは何処にいる?」
口にするのもおこがましい男の名をエルウィンは尋ねた。
「はっ!奴は地下牢に入れられております」
「地下牢か……行ってくる」
「え?た、大将!俺も行きますよっ!」
エルウィンが踵を返し、礼拝堂を出て行く後姿をスティーブは慌てて追った。
「何故、お前もついてくるのだ?」
心底嫌そうに眉をしかめながらエルウィンは尋ねた。
「そりゃ、当然でしょう?大将が頭に血が上ってダリウスを殺さないように見張る為ですよ」
「そんなことするか」
「念の為にですよ」
こうして、エルウィンとスティーブは地下牢に幽閉されているダリウスの元へ足を向けた――。
エルウィンに肩を抱かれ、アリアドネが連れて来られたのはアイゼンシュタット城に作られた礼拝堂だった。
「こ、ここに……ロイがいるのですね……?」
涙に濡れた瞳でアリアドネはエルウィンに尋ねた。
「そうだ、ミカエルとウリエルもロイの傍にいる」
「ミカエル様とウリエル様が‥‥?」
「そうだ‥‥2人とも、幾ら言い聞かせても‥‥ロイの傍から離れようとしないんだ。もう何時間も……」
エルウィンは苦悩の表情を浮かべた。
「そんな…」
アリアドネは扉に駆け寄ると、大きく開け放した。
広い礼拝堂の祭壇の前にはロイが寝かされており、ミカエルとウリエルが項垂れた様子で傍に座っている様子がアリアドネの目に飛び込んできた。
「ミカエル様!ウリエル様っ!」
アリアドネの声が礼拝堂に響き渡る。
するとミカエルとウリエルをはじめとして、その場にいた下働きの者達もアリアドネを振り向いた。
「あ…!リアッ!」
「リア…ッ!」
ミカエルとウリエルがアリアドネの名を叫ぶ。
「ミカエル様ー!ウリエル様ー!」
アリアドネはミカエルとウリエルに駆けよると、幼い2人を掻き抱いた。
「リア…ロイが‥‥ロイが死んじゃったよぉっ!」
「僕‥‥僕、ロイが大好きだったのに…!」
ミカエルとウリエルがアリアドネの胸に顔をうずめ、激しく泣きじゃくった。
「ロイ……」
2人を抱きしめながら、アリアドネは祭壇の前に寝かされたロイをじっと見つめた。
ロイの身体にはマントが掛けられ、胸の部分は出血した血が滲んでいた。
その死に顔は‥‥…とても穏やかで、口元には生前では見られらなった小さな笑みが浮かんでいた。
「ミカエル様、ウリエル様‥‥ロイの顔をご覧下さい」
アリアドネは泣きじゃくる2人に、自身も涙を流しながら語りかけた。
「何‥‥?」
「ロイの顔‥‥?」
泣いていたミカエルとウリエルは顔を上げ‥‥冷たくなったロイを振り返った。
「ロイの顔……あんなに穏やかではありませんか‥‥。きっと……最期は幸せな夢を見ながら……この世を去って逝ったのだと思います‥‥」
「ロイ‥‥」
「う…うん‥‥」
3人は抱き合いながら再び涙を流した。
そして、その様子を見つめていた下働きの者達も早すぎる若者の死を悼み……涙を流すのだった……。
そんな彼らの様子を扉の前でエルウィンとスティーブは見つめていたが……やがてエルウィンが口を開いた。
「スティーブ」
「はい、大将」
「ロイを……アイゼンシュタット城の英雄として、騎士団全員で弔ってやるのだ。その準備を頼む」
「はい、分かりました」
「ところで、ダリウスは何処にいる?」
口にするのもおこがましい男の名をエルウィンは尋ねた。
「はっ!奴は地下牢に入れられております」
「地下牢か……行ってくる」
「え?た、大将!俺も行きますよっ!」
エルウィンが踵を返し、礼拝堂を出て行く後姿をスティーブは慌てて追った。
「何故、お前もついてくるのだ?」
心底嫌そうに眉をしかめながらエルウィンは尋ねた。
「そりゃ、当然でしょう?大将が頭に血が上ってダリウスを殺さないように見張る為ですよ」
「そんなことするか」
「念の為にですよ」
こうして、エルウィンとスティーブは地下牢に幽閉されているダリウスの元へ足を向けた――。
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