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14−22 国王の叱責

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「ベアトリス王女……一体どういうことでしょうか?」

エルウィンは低い声で隣に座るベアトリスを見た。彼の目は怒りに燃えている。

「あ……し、知りません……わ、私には何のことだか。か、彼女たちが勝手に行動したことではありませんか?」

ベアトリスは震えながら返事をする。

「そんな!王女様!」
「王女様が私たちに命じたのですよね?!」

数人のメイドが悲痛な声を上げる。

「し、知らないって言ってるでしょうっ?!」

ベアトリスが叫んだ時……。

「いい加減にしろっ!ベアトリスッ!」

国王が叱責した。

「お、お父様……?」

(い、今……お父様は私を怒鳴ったの?)

今まで一度も叱られた経験が無いベアトリスは目を見張った。

「お前は私に恥を欠かす気なのか?辺境伯が我が国にとって、どれ程重要人物なのか分からないのか?この私が彼を貴賓客として、ステニウス伯爵の娘も一緒に招いたのだ。大切な客人として本来であればもてなしをしなければならない所を……よりにもよって、そのような卑劣な行いをするとは……!」

国王は自分の娘の非礼を世間に知られてしまい、大変激怒していた。
怒りで顔を赤らめながら、扉を守っていた騎士に命じた。

「ベアトリスを部屋に連れて行き、扉に見張りを立てよ!そこのメイド達も連れてい行くのだ!」

「承知致しました」

騎士は頷くと、ベアトリスに近付いていく。

「そ、そんな……お父様……!う、嘘ですよね?!」

しかし、国王は首を振る。

「ベアトリス、しばらく謹慎処分だ」

「お父様!」

しかし、ベアトリスの訴えは聞き入れられない。

「失礼致します、王女様」

騎士は椅子に座っていたベアトリスを軽々と抱きかかえた。

「キャアッ!エ、エルウィン様っ!助けてっ!」

ベアトリスはエルウィンに手を伸ばした。

「……」

しかし、エルウィンはジロリとベアトリスを一瞥するだけで返事をしない。

「そ、そんな……」

「では失礼致します」

ベアトリスを抱きかかえたまま、騎士は頭を下げると退出していった。その後ろを項垂れた様子のメイド達が後をついて出て行った。

『……』

 ベアトリス達が去った後、会場内はシンと静まり返ったままで異様な雰囲気に包まれている。
出席者たちは食事を口にすることも出来ずに固まり、エルウィンの2人の部下たちもどうすれば良いか分からずに佇んでいた。

「全く……ベアトリスめ……」

沈黙を破ったのは国王だった。

「皆の者、すまなかったな。食事の続きをしてくれ」

しかし、その時エルウィンが手を上げた。

「陛下、少々宜しいでしょうか?」

「何だね?辺境伯」

「折角のご招待でしたが……気分が優れないので、退席させて頂いても宜しいでしょうか?部下達も連れて戻りたいですし」

そして目の前に座るステニウス伯爵を一瞬、ジロリと睨みつけた。

「うむ、そうだな……。辺境伯殿も婚約者殿のことが心配であろうし……分かった。離宮に戻られると良いだろう」

国王はエルウィンの話に頷いた。

「どうもありがとうございます」

頭を下げると、エルウィンは立ち上がった。

「それでは失礼致します」

再度お辞儀をするとエルウィンは足早に部下と共に、会場を後にした――。
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