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15-7 波乱の夜会 5
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「どこかに素敵な男性はいないかしら……」
ミレーユは会場を見渡しながら、 若い男性を物色していた。
「このドレスを着ていれば、大抵の若い男性を引っ掛けることが出来るはずよ」
大きく開いた胸元部分をチラリと見ながらミレーユは呟いた、その時――。
ミレーユの眼前をエルウィンが通り過ぎた。
「え?誰?今の男性は」
漆黒の黒髪に青い瞳の美しいエルウィン。他の男性たちよりも頭一つ分高く、鍛え上げたその肢体をミレーユが見逃すはずはなかった。
そして当然、自分が結婚を必死で拒んだ辺境伯であるエルウィンであるということにも。
「なんて素敵な男性なのかしら……。絶対に話しかけなくちゃ!」
ミレーユは人混みを掻き分けながら、必死でエルウィンの後を追った。
「これだな。スパークリングワインは」
エルウィンは飲み物が並べられたテーブルの前にやってきた。
テーブルの上には様々な飲み物が注がれたグラスが並べられている。
まだ栓が抜かれていない瓶にエルウィンが手を伸ばした時――。
「あの、少々宜しいでしょうか?」
背後から鼻にかかった甘ったれた声が聞こえ、エルウィンは振り向いた。
彼の目の前にはきつい香水の匂いを全身にまとわりつかせ、胸元を強調する真っ赤なドレスを身につけたミレーユが立っていた。
「誰だ?」
きつい香水の匂いにどぎつい色のドレス姿の女はエルウィンの大嫌いな娼婦を彷彿とさせる。
(何だ?この女は……?)
眉をしかめたエルウィンはどのような表情を作っても美しかった。
ミレーユはその顔に見惚れながらも声を掛けた。
「あの、つい先程貴方が私の目の前を通り過ぎたのですが……初めてお目にかかる方でしたので、お声を掛けさせて頂きました。お名前、教えて頂けますか?」
エルウィンはあまりにも女の図々しい態度に呆れながらも、ここが王宮であるということでグッと我慢した。
「別に名前を教えてもいいが……その前に相手の名前を尋ねる前に先に名乗るのが筋ではないのか?」
凛と響くエルウィンの声もミレーユには心地よく聞こえた。
(まぁ……この方はお姿だけではなく、お声もとても素敵な方なのね…)
「どうした?お前の名は?」
エルウィンは香水の匂いに我慢しながら尋ねた。が……次の瞬間、衝撃を受けることになる。
「はい、私はアリアドネと申します。アリアドネ・ステニウスと申します。どうぞお見知りおきを」
そしてミレーユはニッコリと笑みを浮かべた――。
****
一方、その頃――。
アリアドネは一人、壁際でエルウィンがやってくるのを待っていた。
「エルウィン様……遅いわね。どうしたのかしら……」
その時……。
「失礼、お嬢さん」
不意に脇から声を掛けられ、アリアドネは顔を上げた。
「え?」
そこには何故か目元部分だけの、ハーフマスクを装着した若い男性が立っていた。
「あ、あの……何か私に御用でしょうか?」
何故、この男性はマスクを身につけているのか……不思議に思いながらアリアドネは返事をした。
「いえ、こんな壁際に一人立っていらしたのでお声を掛けさせていただきました。ひょっとするとご友人がいらっしゃらないのですか?」
そしてマスクの青年は口元に笑みを浮かべた――。
ミレーユは会場を見渡しながら、 若い男性を物色していた。
「このドレスを着ていれば、大抵の若い男性を引っ掛けることが出来るはずよ」
大きく開いた胸元部分をチラリと見ながらミレーユは呟いた、その時――。
ミレーユの眼前をエルウィンが通り過ぎた。
「え?誰?今の男性は」
漆黒の黒髪に青い瞳の美しいエルウィン。他の男性たちよりも頭一つ分高く、鍛え上げたその肢体をミレーユが見逃すはずはなかった。
そして当然、自分が結婚を必死で拒んだ辺境伯であるエルウィンであるということにも。
「なんて素敵な男性なのかしら……。絶対に話しかけなくちゃ!」
ミレーユは人混みを掻き分けながら、必死でエルウィンの後を追った。
「これだな。スパークリングワインは」
エルウィンは飲み物が並べられたテーブルの前にやってきた。
テーブルの上には様々な飲み物が注がれたグラスが並べられている。
まだ栓が抜かれていない瓶にエルウィンが手を伸ばした時――。
「あの、少々宜しいでしょうか?」
背後から鼻にかかった甘ったれた声が聞こえ、エルウィンは振り向いた。
彼の目の前にはきつい香水の匂いを全身にまとわりつかせ、胸元を強調する真っ赤なドレスを身につけたミレーユが立っていた。
「誰だ?」
きつい香水の匂いにどぎつい色のドレス姿の女はエルウィンの大嫌いな娼婦を彷彿とさせる。
(何だ?この女は……?)
眉をしかめたエルウィンはどのような表情を作っても美しかった。
ミレーユはその顔に見惚れながらも声を掛けた。
「あの、つい先程貴方が私の目の前を通り過ぎたのですが……初めてお目にかかる方でしたので、お声を掛けさせて頂きました。お名前、教えて頂けますか?」
エルウィンはあまりにも女の図々しい態度に呆れながらも、ここが王宮であるということでグッと我慢した。
「別に名前を教えてもいいが……その前に相手の名前を尋ねる前に先に名乗るのが筋ではないのか?」
凛と響くエルウィンの声もミレーユには心地よく聞こえた。
(まぁ……この方はお姿だけではなく、お声もとても素敵な方なのね…)
「どうした?お前の名は?」
エルウィンは香水の匂いに我慢しながら尋ねた。が……次の瞬間、衝撃を受けることになる。
「はい、私はアリアドネと申します。アリアドネ・ステニウスと申します。どうぞお見知りおきを」
そしてミレーユはニッコリと笑みを浮かべた――。
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一方、その頃――。
アリアドネは一人、壁際でエルウィンがやってくるのを待っていた。
「エルウィン様……遅いわね。どうしたのかしら……」
その時……。
「失礼、お嬢さん」
不意に脇から声を掛けられ、アリアドネは顔を上げた。
「え?」
そこには何故か目元部分だけの、ハーフマスクを装着した若い男性が立っていた。
「あ、あの……何か私に御用でしょうか?」
何故、この男性はマスクを身につけているのか……不思議に思いながらアリアドネは返事をした。
「いえ、こんな壁際に一人立っていらしたのでお声を掛けさせていただきました。ひょっとするとご友人がいらっしゃらないのですか?」
そしてマスクの青年は口元に笑みを浮かべた――。
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