祀られざる夢

昭和の山間部に残る、名もなき祠。
そこにはかつて、子どもたちが関わった“ある出来事”が封じられていた。

民俗学者の烏丸絵美と調査員の中尾英樹、そして過去にその場に居合わせた男・平山敏朗。
彼らは祠に刻まれた“像”と、その背後にある記憶の歪みに触れていく。

記録には「六人の子ども」とある。
だが現地に残る痕跡は、明らかに“七人分”だった。

欠けているひとり。
誰も思い出せない存在。

やがて明らかになるのは、祀られた名「ミノリ」と、
本来存在してはならなかったもうひとつの名──「澪」。

祀られることで存在を固定されたものと、
祀られることすら拒み、“忘却”を望んだもの。

語ることで救われるのか、
それとも語らないことでしか救えないのか。

最後に残るのは、ひとつの選択。
──語らないという供養。

これは、誰の記憶にも残らないことで、
ようやく安らぎに至った“名もなき存在”の物語である。

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