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11話「快晴の日」
しおりを挟む快晴の日だった。
「朝食できましたよ」
朝起きてテーブルへ目をやった時、衝撃が身体を駆け巡った。
そこにあるはずがないもの。
それが確かに置かれていたから。
驚きのそれが何かというと――ウェネスが手作りしてくれた料理の数々。
「うわっ、凄い! 豪華!」
思わず声が漏れてしまった。
「今日は少し張り切りました」
「ええ……サラダにパンにオードブルみたいなのまで……何ですかこれ!! ウェネスさん!! こんな立派な料理を作るだなんて、凄すぎです!!」
変なテンションになってしまう。
……だってとても美味しそうなんだもの。
「ウェネスさんって料理上手なんですね!?」
「ま、まぁ、この程度なら……頑張ればどうにかなるものですよ」
「いやいや私には絶対無理です! ええっ、本当に……本当に凄い……!」
脳内が掻き乱されている。
輝く料理たちによって。
「早速食べましょうか」
「は、はい! わくわくして心臓飛び出そうです!」
「出さないでくださいよ」
「はい……あ、いえ、ただの表現です……」
どれから手をつけよう? ――それを考えるだけで胸が高鳴る。
「このサラダ! わっ、とっても美味しい! 野菜が! しゃきしゃきしてて……しかもドレッシングも最高の味!」
「野菜は裏庭で育てているやつですよ」
「あ、そうなんですか!? ああ、そうでした! 前に仰っていましたね!!」
「はいそれです」
「へえー! じゃあ手作り野菜! うわぁ贅沢の極みですー!」
そういえば前に一度そんな話を聞いたことがある。
ウェネスが裏庭で少しだが野菜を育てている、という話。
ただ、たった今言われるまで忘れていた……。
「ドレッシングも?」
「自作しています」
「やっぱり!?」
「そんなに驚くことでしょうか?」
「ですよ! だって凄いじゃないですか、全部自力でって!」
褒めると彼は少し照れたように笑っていた。
そんな風にして食事を進めて――。
「あああ! 美味しかったああああ!」
食べ終わって、叫んでしまう。
品がないと分かってはいても声が出てしまうのは止められない――だって本能からのおたけびだから。
……って、私は一体何を言っているのやら。
「凄い声ですね、オレッタさん」
「あ……ごめんなさい、つい……その……いや、ほんとにすみません……」
「いえいいんです。むしろ嬉しいですよ」
「次からは抑えるよう努力します」
「いやいや、べつに抑えなくていいですよ」
そんな風にやりとりしていた、その時。
「こんっにとぅぃっはぁ」
窓の方から声がして、そちらへ目をやる。
すると窓を開けて入ろうとしてきている小男が視界に入った。
誰? 知らない人。ウェネスの知り合い? いや、でも、ウェネスの顔つきを見る感じではそうではなさそう。ということは他人? けれどそれなら勝手に入ってくるのはおかしい。たとえやむを得ず言いたいことがあったとしても、普通、いきなり窓を開けたりはしないだろう。
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