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(6)やぶをつついてヘビを出す?

僕…っ、ひょっとして寝ぼけて日和美さんに何かしましたかっ!?

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「――……なみさん? ひな、みさん。日和美ひなみさんっ!?」

 そんな日和美を、不破ふわが何度も何度も名前を呼んで揺さぶって――。

(あーん。そんなにされたら気持ち悪くなってしまいますぅー)

「お願い……、もっと優しく……して……?」

 日和美は頭がくらくらするほどの酩酊感めいていかんに無意識にそうつぶやいて。自分の声の遠さに何となく『ん?』と思った。

 綺麗な色とりどりの花畑の中。クリアだったはずの視界がぼんやりぼやけて薄暗くて狭い部屋が徐々にクッキリと浮き上がってくる。

「ふぇ……?」

 どういうことだろう?と混乱しまくりの日和美の目の前に、泣きそうな顔で彼女を覗き込む不破がいた。

「不破……さ?」

「すっ、すみませんっ! 僕……っ、ひょっとして寝ぼけて日和美さんに何かしましたかっ!?」

 ギュッと両肩を掴まれて、グイッと近付く超絶美形に、日和美はクラリと酔い痴れそうになる。

 だけど掴まれた腕の力強さに、思わず眉根を寄せて。

「不破さ、痛ぃ……です」

「すみませんっ」

 ぼんやりした頭で不破に痛みを訴えたら、慌てたように力を緩められた。

 腕を緩めてくれた上でなおも心配そうに日和美ひなみの顔を見つめてくる不破ふわに、日和美はソワソワと落ち着かない。

「あ、あの……実は……」

 そう切り出してはみたものの、どう続けたらいいものか戸惑ってしまう。

 正直に、重たい布団に不破が押しつぶされていないか心配になって彼の生存確認をしに来て、寝ぼけた不破にガシッと捕獲されてしまったと話すのが無難だろうか。

(そっ、その場合は必要なさそうな(?)彼の顔に見惚れて近付き過ぎたから、というのは伏せておいても平気かな?)

 でも――。

 そうすると自然と〝ルティ〟のくだりも話さねばならない気がして、日和美はグッと言葉に詰まってしまった。

 きっと不破にとって、ルティのことは記憶への架け橋となる重要な手掛かりに違いない。
 彼のことを思えば、今すぐにでも『その名に心当たりはありませんか?』と聞いてあげるべきなのだけれど。

(もし不破さんに記憶が戻ったら……私との同居はなくなる……んだよ、ね?)

 そう思うと、どうにもなかなか話すことが出来ない日和美だ。

 それに――。
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