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8.私、行きたいのですっ!*
修太郎さんは、何でそんなに堂々としていらっしゃるのですか?
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トロンとした日織とシャワーを浴びて。
大好きな妻の身体の隅々まで洗って差し上げる、という野望も果たして大満足の修太郎だ。
ジャグジー付きの浴槽に、ホテルが用意してくれていた泡入浴剤を入れてほんのり薔薇の香りが漂うバブルバスにしたのは、身体を洗っている最中に日織が段々覚醒してきてやたらと恥ずかしがるようになってしまったから。
修太郎としては湯船の中でも日織の身体がもっとクリアに見える透明なお湯に浸かりたかったのだけれど、泣きそうな目をして「こんな明るいのは……恥ずかしいのですっ」と顔を見上げられては折れざるを得なかった。
修太郎は、今日は目一杯日織を甘やかす、と決めたのだから。
***
身体を洗っている最中に縮こまってしまった日織を気遣って、浴槽内のジャグジーを作動させた修太郎だ。
それだけでもきめ細かい気泡で浴槽の中が見えにくくなったのだけれど、アメニティーグッズの中にバブルバスの入浴剤があったことも知っていたので「入れてみますか?」と日織に問いかけてみた。
当然ぼんやりしている間に修太郎と風呂に入ってしまっていた、という現実を突きつけられて、恥ずかしさに打ち震えている日織はコクコクと頷いて。
視線が下に落ちた途端慌てたように眼前の修太郎から視線を逸らしたのを見て、修太郎は「もしかして恥ずかしいのはご自分の身体を見せることだけじゃなくて……僕の身体を見るのもだったり?」と今更のように思い至る。
「――ねぇ、日織さん?」
何だかそれを確かめたくて、わざと日織に近付いたら顔を覆い隠すようにしてクルリと後ろを向かれてしまった。
「しゅ、しゅうたろぉさんは……何でっそんなに堂々としていらっしゃるのですか……っ?」
両手で顔を隠したままモゴモゴと日織が問いかけてくるのを見て、修太郎は「ああ、やはり」と確信する。
「日織さんに隠さないといけない所なんて、僕は持ち合わせていないからですよ?」
背後からギュッと日織を抱き締めて耳元でささやくように声を吹き込んだら、日織が小さく身体を縮こまらせて。
「わ、私はっ、修太郎さんには隠したい所だらけなのですっ」
と耳まで真っ赤にしてくる。
大胆に修太郎に迫ることがあるかと思いきや、こんな風にまるで処女のような初々しい反応をする日織が、修太郎にはたまらなく愛しく思えた。
「僕は日織さんの身体は余す所なく隅々まで見たい派なのに……とても残念です」
クスッと笑って、真っ赤になって熱をもった日織の耳朶をやんわり食んだら、日織が「や、ダメっ」と吐息を落として身じろいだ。
それだけで下腹部に熱が溜まるのを抑えられない修太郎だったのだけど。
「ひゃっ。しゅ、しゅーたろさっ。当たってますっ」
泣きそうな顔をして距離を取られて、修太郎は思わず瞳を見開いた。
眉根を寄せて瞳を潤ませた日織が本当に可愛くて。
さっきまで散々ここをご自分の中に受け入れて、深く深く繋がっていたくせに、この反応は本当反則ですね、と思わずにはいられない。
それで、無意識に日織の下生えの先に手を伸ばそうとしたら「にゅ、入浴剤っ。入れて下さるって……おっしゃったのですっ」とか。
修太郎はその言葉に思わず動きを止めて。日織の必死な様子に口の端に笑みが浮かべてしまった。
浴槽に溜めた湯からの蒸気で浴室全体が温まっているとはいえ、ずっと洗い場でウダウダしていては日織に風邪をひかせてしまうかもしれない。
ここで日織の言葉を無視してそのまま責め立てれば、きっと彼女の情欲に再び火をつけることは容易い。
そうしてその流れに任せて日織を抱けば、ふたり、必然的に身体がすぐに温まることも分かっていた。
けれど、日織がそれを望んでいないのだからここは自重すべきだ。
ベッドで散々日織を泣かせた修太郎は、いつもよりほんの少しだけ気持ちにゆとりがある。
「……そうでしたね」
名残惜しさを感じながらも、日織から身体を離すと、日織がストンとその場にしゃがみ込んだのが見えた。
身体をギュッと縮こまらせて修太郎の視線から自分の身体を隠すように頑張っているんだろう。
そんな可愛らしい反応を好もしく思いながら、脱衣所に置かれていたアメニティーグッズの中からお目当てのバブルバスの小袋を手に戻ると、修太郎は中身を浴槽の中に流し込む。
と、それに伴ってジャグジーが起こす気泡が、みるみるうちに白いモコモコの濃密泡に変わっていくのが見えて。
「――日織さん、泡で何も見えなくなりましたし、安心して浸かりませんか?」
聞いたら、日織がうつむいたまま小さく何度もコクコクと頷いた。
大好きな妻の身体の隅々まで洗って差し上げる、という野望も果たして大満足の修太郎だ。
ジャグジー付きの浴槽に、ホテルが用意してくれていた泡入浴剤を入れてほんのり薔薇の香りが漂うバブルバスにしたのは、身体を洗っている最中に日織が段々覚醒してきてやたらと恥ずかしがるようになってしまったから。
修太郎としては湯船の中でも日織の身体がもっとクリアに見える透明なお湯に浸かりたかったのだけれど、泣きそうな目をして「こんな明るいのは……恥ずかしいのですっ」と顔を見上げられては折れざるを得なかった。
修太郎は、今日は目一杯日織を甘やかす、と決めたのだから。
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身体を洗っている最中に縮こまってしまった日織を気遣って、浴槽内のジャグジーを作動させた修太郎だ。
それだけでもきめ細かい気泡で浴槽の中が見えにくくなったのだけれど、アメニティーグッズの中にバブルバスの入浴剤があったことも知っていたので「入れてみますか?」と日織に問いかけてみた。
当然ぼんやりしている間に修太郎と風呂に入ってしまっていた、という現実を突きつけられて、恥ずかしさに打ち震えている日織はコクコクと頷いて。
視線が下に落ちた途端慌てたように眼前の修太郎から視線を逸らしたのを見て、修太郎は「もしかして恥ずかしいのはご自分の身体を見せることだけじゃなくて……僕の身体を見るのもだったり?」と今更のように思い至る。
「――ねぇ、日織さん?」
何だかそれを確かめたくて、わざと日織に近付いたら顔を覆い隠すようにしてクルリと後ろを向かれてしまった。
「しゅ、しゅうたろぉさんは……何でっそんなに堂々としていらっしゃるのですか……っ?」
両手で顔を隠したままモゴモゴと日織が問いかけてくるのを見て、修太郎は「ああ、やはり」と確信する。
「日織さんに隠さないといけない所なんて、僕は持ち合わせていないからですよ?」
背後からギュッと日織を抱き締めて耳元でささやくように声を吹き込んだら、日織が小さく身体を縮こまらせて。
「わ、私はっ、修太郎さんには隠したい所だらけなのですっ」
と耳まで真っ赤にしてくる。
大胆に修太郎に迫ることがあるかと思いきや、こんな風にまるで処女のような初々しい反応をする日織が、修太郎にはたまらなく愛しく思えた。
「僕は日織さんの身体は余す所なく隅々まで見たい派なのに……とても残念です」
クスッと笑って、真っ赤になって熱をもった日織の耳朶をやんわり食んだら、日織が「や、ダメっ」と吐息を落として身じろいだ。
それだけで下腹部に熱が溜まるのを抑えられない修太郎だったのだけど。
「ひゃっ。しゅ、しゅーたろさっ。当たってますっ」
泣きそうな顔をして距離を取られて、修太郎は思わず瞳を見開いた。
眉根を寄せて瞳を潤ませた日織が本当に可愛くて。
さっきまで散々ここをご自分の中に受け入れて、深く深く繋がっていたくせに、この反応は本当反則ですね、と思わずにはいられない。
それで、無意識に日織の下生えの先に手を伸ばそうとしたら「にゅ、入浴剤っ。入れて下さるって……おっしゃったのですっ」とか。
修太郎はその言葉に思わず動きを止めて。日織の必死な様子に口の端に笑みが浮かべてしまった。
浴槽に溜めた湯からの蒸気で浴室全体が温まっているとはいえ、ずっと洗い場でウダウダしていては日織に風邪をひかせてしまうかもしれない。
ここで日織の言葉を無視してそのまま責め立てれば、きっと彼女の情欲に再び火をつけることは容易い。
そうしてその流れに任せて日織を抱けば、ふたり、必然的に身体がすぐに温まることも分かっていた。
けれど、日織がそれを望んでいないのだからここは自重すべきだ。
ベッドで散々日織を泣かせた修太郎は、いつもよりほんの少しだけ気持ちにゆとりがある。
「……そうでしたね」
名残惜しさを感じながらも、日織から身体を離すと、日織がストンとその場にしゃがみ込んだのが見えた。
身体をギュッと縮こまらせて修太郎の視線から自分の身体を隠すように頑張っているんだろう。
そんな可愛らしい反応を好もしく思いながら、脱衣所に置かれていたアメニティーグッズの中からお目当てのバブルバスの小袋を手に戻ると、修太郎は中身を浴槽の中に流し込む。
と、それに伴ってジャグジーが起こす気泡が、みるみるうちに白いモコモコの濃密泡に変わっていくのが見えて。
「――日織さん、泡で何も見えなくなりましたし、安心して浸かりませんか?」
聞いたら、日織がうつむいたまま小さく何度もコクコクと頷いた。
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